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晴海に隈研吾氏が監修した「CLTパビリオン」が誕生、1年後には産地の真庭市へ移築CLT(1/4 ページ)

東京都中央区晴海に国産材活用のシンボルとなるパビリオンが誕生した。CLTを680立方メートル使用した木の現しが特徴的な建物は、隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修したもので、これまでCLTの一般的な用途だった壁や床ではなく、梁として使用されている。解体後に移設・再築が可能な構造で設計されており、1年間の運用後には、木材が生産された岡山県真庭市で建築物として第2の人生を送るという。

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 三菱地所が、東京都中央区晴海で開発を進めてきた「CLT PARK HARUMI(旧名称:CLT 晴海プロジェクト)」が2019年11月29日に竣工した。

 完成した建築物には、国産材を用いた「CLT(Cross-Laminated-Timber:集成材)」が680立方メートル使用され、CLTの魅力を伝えるシンボリックな存在として、2019年12月14日の開業から、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を経て、2020年秋までの1年間を通じて晴海の地で運用される。その後は、使用されている木材の生産地である岡山県真庭市の国立蒜山公園内に移築され、観光や文化の発信拠点に生まれ変わる。

 オープンに先立ち、2019年12月5日には、内覧会が開催され、施主の三菱地所をはじめ、デザイン監修を務めた隈研吾建築都市設計事務所、設計監理の三菱地所設計、施工の三菱地所ホームら関係者が出席した。

これまでに無い解体後に移築が可能な“サスティビナリティCLT”


「CLT PARK HARUMI」

 内覧会の冒頭で、三菱地所・吉田淳一執行役社長は、屋根構造材に採用した沖縄県宮古島市・下地島空港の旅客ターミナルや床材に採り入れた宮城県仙台市泉区の賃貸マンション「PARK WOOD 高森」など、三菱地所のCLT導入事例に触れつつ、「木はぬくもりがあって人を包み込み、癒しをもたらす。日本の森林資源である木材を活用することは、林業の活性化はもとより、防災、環境対応、さらには地方創生にもつながる意義がある。当社としても、森林大国である日本各地の木材資源活用に、積極的に取り組んでいきたい」と語った。

 建築家・隈研吾氏はコンセプトについて、「CLTをこれまでに無い使い方で、新しさを多くの方にみせられるパビリオンにしたかった。(意匠性の高い)ディテールを実現するため、流行語にもなった“ワンチーム”で各社と協力し、世界に類を見ない唯一の空間を創出することができた」と振り返った。

 また、「これからは建築物の流動性が重要となる。このプロジェクトの東京で建て、真庭市で再生するという先進的な試みは、コンクリートの建築物ではできないこと。ハードと、参加企業のGoogleなどソフトの両面で、東京2020大会の目玉になる建築物の一つになるだろう。施設に設計者が刺激を受けて、CLTが広がるきっかけにもなれば」とコメントした。


パビリオン棟の地上部CLTパネル

 CLT生産地の真庭市・太田昇市長は、「当市は、国内唯一のCLT工場を有し、古くから木の文化が根付いている土地柄。CLT PARK HARUMIが市へ里帰りした後は、大阪万博の太陽の塔のように市のシンボルとなり、農山村が本来持つ魅力を新たな息吹で蘇らせる“地方創生”につながれば。前回の東京五輪は、高度経済成長を体現したものだったが、今回は、成熟した日本社会の次を示すイベントになるはず。この場が伝統的な木造建築と新たなCLTの融合で、次の文化を創る象徴となることを期待したい」と展望を語った。


左から、真庭市・太田昇市長、建築家・隈研吾氏、三菱地所・吉田淳一執行役社長

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