作業時間が半減、ロックボルトの間隔を計測する「デプスカメラ」のシステムを三井住友建設と日立ソリューションズが開発:維持管理
三井住友建設と日立ソリューションズは、「デプスカメラ」を活用して、トンネルや切土補強土のプレートを締め付けるロックボルトの配置間隔を計測するシステムを共同開発した。
三井住友建設と日立ソリューションズは2022年12月20日、対象物までの距離が測れる「デプスカメラ」を活用し、トンネルや切土補強土のプレートを締め付けるロックボルトの配置間隔を計測するプロトタイプシステムを共同開発し、実現場で試行導入して性能確認を行ったと公表した。
従来の検測方法に比べ、施工管理者の拘束時間を約半減
山岳トンネル工事や切土補強土工事では、掘削後に地山の崩落や変形を防ぎ安定した状態で作業するため、ロックボルトを地山に打設しなければならなかった。ロックボルトは、国土交通省や各地方自治体などによって配置間隔の出来高管理基準や規格値が示されており、基準に準じた管理が求められている。
通常、ロックボルト配置間隔は、2人1組となってロックボルトの位置にスケール(メジャー)を用いて計測。場所によっては、高所作業車や足場を使用して計測する現場もあり、準備のために相当の時間をすることに加え、安全面でのリスクも抱えている。
そこで、両社はロックボルト計測の一連作業の省力化と安全性の向上を目的に、鉄筋出来形自動検測システムの開発実績を活用し、3次元情報を計測することが可能なデプスカメラを用いたシステムを開発した。
ロックボルトの配置間隔は、国土交通省や各地方自治体などの規格に合っているか定期的な計測や管理が必要とされる。新システムにより、デプスカメラを搭載したタブレットなどでロックボルトが埋め込まれた壁面を写真撮影するだけで、ロックボルトの配置間隔を画像上で計測して、計測した値はCSV形式で帳票を自動出力するため、従来の検測方法に対して施工管理者が拘束される時間を2分の1に短縮できる。さらに、計測時に高所作業車や足場などを必要としないため、安全性が大幅に向上する。
三井住友建設と日立ソリューションズは、これまでにデプスカメラを活用して鉄筋出来形検測を対象にした一連の作業を省力化するシステムを共同で開発するなど取り組んできた。
2社は今後、システムのさらなる開発を進め、引き続き土木・建築分野におけるさまざまな出来形検測への積極的な導入展開を図り、建設業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援し、生産性向上と安全性向上に取り組んでいくとしている。
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