【建設サイトReport】飛島建設が全現場で導入、CCUSと連携した多機能プラットフォーム「e-Stand」:「建設サイト・シリーズ」ユーザーミーティング2022(4)(2/2 ページ)
飛島建設は、建設現場の生産性向上に向け、安全教育などと電子商取引の機能を併せ持つ、独自の共創プラットフォーム「e-Stand」を開発した。e-Standと、顔認証の機能を備える建設キャリアアップシステムと連携させるなど機能拡充も図り、将来は自社だけでなく、他ゼネコンとの共創も目指している。
独自の共創プラットフォーム「e-Stand」の開発理由
だが、当然ながら顔認証 for グリーンサイトさえ採用すれば、全ての問題が即座に解決するというわけではない。顔認証 for グリーンサイトで現場管理を行う際には、現場での通信環境はやはり欠かせない。そこで飛島建設は、関連機能をタブレット端末に集約させた。
しかも、せっかく各現場に配置するのだから、顔認証以外の作業にも活用しようということで、多機能デジタルサイネージをもとにした共創プラットフォーム「e-Stand」を開発。現在では、安全教育や資材購入のEC(電子商取引)、デジタルサイネージとの連携、現場事務所や本社から建設現場を確認するWebカメラといった各種機能を備えている。
サービスのうち、安全教育は、各現場での安全教育や新規入場教育、現場概要などの動画を制作し、e-Standを通じて現場に遠隔配信するもの。小規模現場では、安全教育を紙ベースだったことも多く、現場監督はその作業に1日15〜20分も費やしている。それが一年も続いたら、どれほどの時間を浪費することになるのか。
ならば、その内容を映像にまとめて、現場に提供していこうというわけだ。もちろん映像制作も、本社で一括して制作すれば、その部分も効率化される。また、同社の安全教育動画は、冒頭に社長が登場して話をするほか、外国人労働者向けに外国語の字幕なども付け、事故を未然に防ぐための効果的な動画作りを目指している。
デジタルサイネージのe-Stand利用では、安全教育などの動画配信や各種お知らせ、注意喚起の告知類など、詰所に置いたモニターで行う。ポスターを貼る手間の削減に加え、新規入場者の教育も現場に合わせて実施できるようになる。
ほかにも、現場で必要な工具や弁当などを購入できるECの仕組みも、e-Standならではの機能。従来は現場でいちいち現金で購入し、領収書を処理する手間が生じていたが、ECにより小口現金も領収書処理も不要となり、バックオフィス業務の効率化が進んだとのことだ。また、Webカメラとの連携機能により、事務所から現場確認だけでなく、災害時の緊急対応も可能になる。
それでも、「やり方が分からない」「マニュアルを送っても現場が使ってくれない」などの声が寄せられることが少なくないと科部氏は漏らす。そこで飛島建設では、こうした各現場の違いを把握して、きめ細かなITサポートを提供する「DXトータルサポート部隊」を編成した。
現場経験が豊富な科部氏も、「現場へのIT/DXの確実な普及には、IT専門の監督である“IT監督”の展開がどうしても必要だ」と考えている。IT監督とe-Standに代表される「e-シリーズ」の活用で、現場のIT対応をワンストップで支援していくことを当面の目標としている。
さらに、「e-Standによる展開は社外にも広げ、ゼネコン各社がe-Standを介して連携し、協力体制を築き、共創していくことで、現場のDX実現につなげ、建設業を良くしていきたい」と科部氏はそう語り、セミナーを終えた。
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