コンクリ圧送パイプの運搬を省力化するソリューション開発に着手、建ロボテックとベトンテック:産業動向
鉄筋結束ロボット「トモロボ」を開発した建ロボテックは、コンクリートポンプ圧送工法で知見を持つベトンテックと共同で、いまだに重労働が課せられているコンクリート圧送パイプの設置と撤収を対象に、省力化や省人化をもたらすソリューション開発に乗り出した。
建ロボテックと、中央建設グループでコンクリートポンプ圧送機材やコンクリートポンプ車の販売などを手掛けるベトンテックは、2021年8月に締結したパートナー契約に基づき、コンクリート圧送作業の省人化と省力化に向けた共同研究を進めている。
コンクリート圧送パイプの設置と撤収を省力化・省人化
建ロボテックでは「世界一、ひとにやさしい現場を創る」をミッションに、建設現場の省力化と省人化を実現する「ロボットを活用したスマート施工」のソリューションを提供。これまでに、主力製品の「鉄筋結束トモロボ」をはじめとするロボット製品を開発し、鉄筋工事現場に特化して建設市場に供給してきた。しかし、鉄筋工事以外の他工法については、建ロボテックに知見が無かったために進出ができなかった。
そこで今回、建ロボテックのロボットによるスマート施工技術とベトンテックのコンクリート圧送技術に関する知見を融合させ、初弾でコンクリート圧送パイプの設置と撤収に関わる運搬業務の省力化と省人化の新技術を共同開発することとなった。
対象となるコンクリート圧送は、生コン車で搬送されたフレッシュコンクリートをバケットでなく、コンクリートポンプで所定の位置に打設する専門工事。コンクリートポンプでの圧送工法は、1964年以降からコンクリート工事の主流となり、コンクリートを使用する建設工事の工期短縮や効率化に貢献してきた。
しかし、コンクリート圧送に関連する作業自体は現在でも、厳しい力作業を伴う重労働で、作業者の負担軽減がコンクリート圧送業界で喫緊の課題となっている。
建ロボテック 代表取締役 眞部達也氏は、「コンクリート圧送作業を行われている方々の苦渋作業からの解放や過酷な環境の緩和に寄与する技術開発を、業界で先進設備導入のパイオニアであるベトンテックとともに進め、世界一ひとにやさしい圧送作業を実現したい。建ロボテックとしては今後、多様な工事領域のスペシャリストとのパートナーシップで、建設工事全体の省力化にも取り組んでいく」とコメント。
ベトンテック 代表取締役 長谷川聖紘氏は、「(建ロボテックの)世界一、ひとにやさしい現場を創るに共感し、実践的な省力化・省人化ソリューションをともに開発していければ」と語る。
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