恐竜骨格も作れるロボットアーム型木材加工機の外販をスタート、前田建設工業ら:産業動向
前田建設工業や前田製作所、前田道路の3社が2021年10月1日に設立した共同持株会社のインフロニア・ホールディングスは、前田建設工業と千葉大学の平沢研究室が共同で2018年に開発した木工用のロボットアーム型加工機「WOODSTAR」の販売事業を立ち上げた。今回の事業では、前田建設工業の技術開発力および木造建築に関する知見と、前田製作所の機械製作・販売の豊富な経験という互いの強みを生かす。また、WOODSTARの販売目標として2025年までに売上高35億円を掲げている。
インフロニア・ホールディングスグループの前田建設工業と前田製作所は、ロボットアーム型木材加工機「WOODSTAR(ウッドスター)」の販売事業を2021年10月に開始し、同月から全国のプレカット工場に向け販売をスタートした。
専用ソフトにより操作に不慣れなオペレーターも簡単に操縦可能
WOODSTARは、汎用のロボットアーム先端に自動ツール交換機を装着したもので、標準的な使い方では2機をペアで使用する。利用方法は、機体に大型の木材を垂直に設置して、加工することにより、断面寸法が高さ3メートルで、厚さ1.25メートルの部材を作れる。
さらに、WOODSTARもしくは木材をレール上の自走する台に配置することで、木材をさまざまな長さに加工できる他、WOODSTARのロボットアームは6軸(自由度)で動くことから複雑な形状の構築にも対応し、恐竜骨格、女神像などの曲線が多い造形物も製造可能だ。
前田建設工業とインフロニア・ホールディングスグループの技術研究・開発を担うICI総合センターでは、既に多数の同社案件でWOODSTARによる加工実績があり、従来の加工機では不可能であった大判CLT、化粧外装材、アート作品などの加工を実現してきた。
これまでは、操作に習熟している開発者がマニュアル操作でWOODSTARを動かしていたため工場のオペレーターが操作するのは困難だったが、事業化に当たり、加工形状の作成からロボット動作設定までをセミオートで操作する専用ソフトを開発し、他の加工機に慣れた工場オペレーターが簡単に操れるようにした。
とくに、近年非住宅で普及が加速しているBIMで作成したデータを直接取り込めるようにし、部材同士をつなぐ接合部の典型的な形状をあらかじめメニュー化して選べるようにすることで、オペレーターの操縦で生じる負担を減らしている。加えてメニューに無い特殊な形状は動作設定の代行サービスを用いることで作れるようにした。
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