コンクリ工の予定を“チャットbot”で自動連絡、手配から出来高集計まで6割の時短を実現:現場管理
西松建設は、L is B、日本ディクスとともに、ロボットが自動で対話するチャットbotを用いて、コンクリート打設の手配業務を省人化する情報共有システムを開発した。新システムの導入により、これまで電話やFAX、メールで行っていた工事予定日の連絡の自動化に加えて、協力会社ごとの請求処理に必要な出来高集計に要する作業時間も短縮できる。
西松建設とL is B、日本ディクスは共同で、チャットbotを活用したコンクリート打設情報共有システムを開発したと2021年10月末に公表した。
コンクリート打設情報共有システムは、コンクリート工事の手配業務で、現場技術者が各協力会社との連絡や確認業務、集計業務を円滑にし、発注ミスを防止することを目的としたチャットbotベースのシステム。L is Bの建設業向けチャットツール「direct」上で、元請けが工事予定や労務の手配情報をデータベースへ登録し、協力会社などにチャットbotで最新情報を自動配信することにより、管理業務の省力化が実現する。
コンクリ打設工事の発注ミスを防ぐ、チャットbotを介した情報共有
コンクリート工事では、関係する協力会社が多く、電話/FAX/メールでの打設予定内容の連絡や確認業務、毎月の生コン発注数量や各協力会社での出来高の集計は煩雑なものとなっている。加えて、作業工程の変更や天候により、当初予定していた打設日の変更が生じるので、その都度、日程を調整する必要があり、現場技術者と協力会社の双方で大きい負担となっている。そのため、現場技術者や協力会社の関係者全員は、変更した打設予定日や手配状況など、最新情報の共有漏れを起こさない仕組みを求めていた。
今回、3社が開発したコンクリート打設情報共有システムでは、まずdirect上にチャットルームを作成し、現場技術者がコンクリート手配表の内容を登録をすると、チャットbotを介して協力会社に連絡が届く。協力会社は予定を確認し、作業の可否、打設当日の予定人員などをチャットで返答すれば、関係者間で工事内容の連絡や確認が可能となる。仮に打設予定に変更が生じても、現場技術者が同様に手配表を修正するだけで、協力会社のチャットへ自動で伝達される。
コンクリート打設後には、現場技術者がコンクリートの打設数量(搬入数量)や左官工の施工面積、作業人工数などの実績を入力すれば、データベースに登録されるため、現場作業所内の関係者間で最新の実績情報を常に共有し、後で協力会社ごとの月末の請求処理に必要な出来高集計にも役立てられる。
システム導入により、発注ミスを防止できるだけでなく、連絡や確認、集計業務を合計した総労働時間は、現場規模により差はあるものの、3〜6割の短縮が期待されている。
西松建設では2021年度は複数の現場で検証し、使い勝手などの課題抽出を行う。次年度はその結果を踏まえてシステムをブラッシュアップし、多くの現場に展開する。将来は、現場ごとのコンクリート打設予定内容、打設実施の数量、作業員の歩掛りなどの情報を蓄積していくことで、積算業務や工程計画に活用することを計画している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 現場管理:高所作業車の予約から返却まで総合管理するアプリを竹中工務店が開発、朝日興産を介して外販も
竹中工務店は、建築現場向けアプリ「位置プラス」のラインアップに、高所作業車の管理機能を備えた「高車管理」を追加した。高車管理では、高所作業車の位置情報や予約状況がモバイル端末やPCでリアルタイムに確認できるため、元請け、協力会社、レンタル会社の手間が低減されるとともに、運用コストの削減も見込める。 - 現場管理:仕上げ工事の状況をQRコードでスマホから登録、作業時間を8割減「位置プラス進捗」
竹中工務店は、現場管理アプリの「位置プラス」シリーズで4番目となる仕上げ工事の進捗を管理する「位置プラス進捗」を開発した。既に外販を進めている位置プラスシリーズのライアンアップの一つとして、2020年度中に販売を開始する。 - 現場管理:竹中工務店の現場管理アプリ「位置プラス」、全国で外販をスタート
竹中工務店は、建設現場での人手不足の解決を目指して開発した人や高所作業車などの位置を記録し、管理業務を効率化させるアプリ「位置プラス」シリーズの本格販売に乗り出す。将来は、現場の位置情報を取得できる特性を生かして、BIMとの連携も視野に入れる。 - 施工管理アプリ:測量〜施工計画を40%時間短縮、iPadのGPSセンサーと気圧計で座標登録する竹中土木の施工管理アプリ
竹中土木は、iPadに表示した設計図面上に自己位置および位置座標を表示することで、施工管理業務を支援するアプリ「位置プラス“測”」を開発した。位置プラス“測”により、現場にiPadがあれば、搭載されているGPSと気圧計で現在座標を取得し、専用測量機器なしでも、測量から施工計画までが効率的に行えるようになる。 - 竹中工務店、高所作業車の予約管理アプリ開発
竹中工務店が、高所作業車の予約管理アプリを開発し、大学の建設現場で試験運用を行った。アプリ導入で、作業員が管理ホワイトボードの設置されている休憩所まで、予約の都度に往復する必要がなくなり、無駄な時間の削減や作業車の効率的な運用が可能となる。