データセンター向けに外気を室内に直接導入しない空調システムを開発、鹿島建設:製品動向
鹿島建設は、データセンターの省エネルギー技術として「間接外気冷房型の空調システム」を開発した。間接外気冷房型の空調システムは、外気を室内に直接導入しない新たな外気冷房コンセプトを採用しており、サーバ室空調の省エネルギー化や室内の湿度と清浄度の調整で求められる設備の負担を軽減する。今後は、新システムの実績を活用した汎用技術により、グリーンデータセンターに向けたニーズや他施設の環境負荷低減に関する要望に応えつつ、さらなる技術開発に取り組んでいく。
鹿島建設は、データセンターの省エネルギー技術として「間接外気冷房型の空調システム」を開発したことを2021年7月29日に発表した。
直接外冷システムで必要なフィルターが不要
多量なエネルギーを消費するデータセンターの省エネルギー性能を向上するためには、寒冷地の冷涼な気候を活用した外気冷房が有効とされている。しかし、外気をサーバ室内に直接導入する外気冷房システム(以下、直接外冷システム)では、サーバ室内の空気環境を安定した状態に維持管理するための調湿と除塵(じょじん)に負担がかかっていた。
上記の課題を解消するために、鹿島建設は、間接外気冷房型の空調システムを開発した。間接外気冷房型の空調システムは、外気を直接室内へ導入せず、室外機に備えたラジエータ型の熱交換コイルで外気冷房を行う。さらに、備えられた空調機は、夏期に限り使用する熱源用の冷水コイルと外気冷房コイルの双方を搭載し、外気温度や冷却負荷に応じて3つの運転モードを切り替え、省エネルギー化で求められる最適な制御が可能。
また、外気を室内に導入しないことでサーバ室内の湿度が安定するため、直接外冷システムで必須となる加湿と除湿の設備をなくせ、維持管理の負荷を減らせる他、従来の直接外冷システムと比べ、電力・給水料金の合計は同程度だが、直接外冷システムで必要なフィルターを不要とし、維持管理のコストを低減する。
今回のシステムで採用したコンセプト「外気を導入しない間接外冷」は、寒冷地以外にも塩害地区や外気の汚れを懸念する都心部と工業地域などにも提案でき、データセンターに限らず、サーバ室と同様に機器の発熱を冷却しなければならない生産施設などにも、システムの知見を使える。
鹿島建設では既に、北海道石狩市で設計・施工を担当した「さくらインターネット石狩データセンター3号棟」で新システムを実装し、2021年3月に性能検証を完了して、データセンター空調における国内トップクラスの省エネ性能「p.PUE※1=1.116」を実現した。
※1 p.PUE:partial Power Usage Effectivenessの略で、データセンターのサーバ室単位でのエネルギー効率を示す指標で1に近づき小さいほど効率が良い。PUEはデータセンター全体のエネルギー効率を表し、一般的に値が1.2を下回ると効率が良いとされる
さくらインターネット石狩データセンター3号棟の概要
さくらインターネット石狩データセンター3号棟は、地上3階建てで、延べ床面積は1万2280平方メートル。所在地は北海道石狩市。
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