30分ごとにデマンド値を変動させ、積極的な節電を狙う:BEMS製品解説(6)
BEMSアグリゲータ幹事会社が提供するシステムを紹介する特集の第6回。今回はヴェリア・ラボラトリーズが提供するシステム「EIA-demand Light」の機能を紹介する。同社のシステムはあらかじめ設定したデマンド値を超えないように制御するだけでなく、30分ごとにデマンド値を変動させることで、1日の全体の消費電力量を節約することを目指している。
ヴェリア・ラボラトリーズの「EIA-demand Light」は、契約電力が50〜500kWと、BEMSアグリゲータ制度が対象とするビルのほとんどを対象にしたシステムだ(図1)。
特長としては、デマンド値(消費電力量の目標値)を超えないように機器を制御して、契約電力引き下げを狙うだけでなく、30分ごとにデマンド値を変動させ、その値に合わせて機器を制御することで、1日全体の消費電力量を抑え込むことを狙っているという点が挙げられる。契約電力引き下げによる基本料金引き下げだけでなく、消費電力量を減らして電気料金の削減も狙うシステムだ。これは同社の「デマンド制御だけでは省エネとは言えない」という考え方を反映した機能と言える。
デマンド値の決め方にも特長がある。過去のデータから30分刻みでデマンド値を自動的に決める機能を持つのだ。昼間に比べて気温が高くない朝や夕方、夜のデマンド値を自動的に下げ、その値を超えないように機器を制御することで、1日の全体の消費電力量を下げることができる。
初期導入コストと毎月の利用料が比較的低額であるという点も特長だ。初期導入コストは75万円〜、毎月の利用料は5000円〜。コストの面で見ると、比較的導入しやすいシステムと言える。対象となる施設はオフィス、店舗などを想定している。
基本的なシステムでは、ビル全体の消費電力量と、空調機器が消費している電力量を計測する。希望次第で照明器具の消費電力を計測するようにもできる。消費電力量のデータはデータセンターに送信し、集計する。集計結果はデータセンターにWebブラウザでアクセスすることで確認できる(図2)。同社のシステムではさらに、Webブラウザでデータセンターにアクセスすることで、デマンド値を手動で変更できるという特長がある。
消費電力を抑制する方法は、空調機器の制御が主となる。照明機器の制御も可能だ。空調機器を制御するときは、消費電力量がデマンド値に近づいていることを知らせる警報が鳴る。その後、30分ごとに決まるデマンド値を超えないように、一部の空調機の室外機を制御し、動作を弱める。このほか、30分の間であらかじめ指定した時間帯に空調機の動作を弱めるという設定もできる。10分間でも動作を弱めておけば消費電力を削減できるので、消費電力量の合計がデマンド値に近づくことが少なくなるということだ。
需要が逼迫するという知らせをデータセンター側で受信したら、ユーザーに電子メールで警告を送りながら、デマンド値を引き下げる。デマンド値が下がると、空調機器の動作が弱くなる時間が長くなり、結果として消費電力量を下げられるのだ。
電力消費量を抑えるために制御する空調機器は選択できる。ヴェリア・ラボラトリーズは導入が決まったら対象の建物の消費電力量を調査し、なるべく快適さを損なわずに節電効果を期待できるということを考えて制御する空調機器を提案するという。
例えば、図3のように来客があるロビーは電力の需給が逼迫するなどの非常時以外は制御対象とせず、サーバールームは完全に制御対象外とすることができる。その一方で、あまり人が入ることがないトイレや会議室では、照明や空調を常時停止させておくという設定も考えられる。
以上で説明したような空調機器の自動制御機能を使用せずに、ユーザーが手動で機器を制御するということも選択できる。また、需要逼迫時の遠隔制御を受け付けないようにもできる。ただし、需要逼迫時の遠隔制御を受け付けないと補助金の補助率は1/3となる。遠隔制御を受け付ければ1/2の補助を受けられる。
システムを導入したユーザーには運用改善、設備改善などのアドバイスを提供する。毎月1回、アドバイスをまとめたファイルを、消費電力量を確認する画面からダウンロードできるようにする。アドバイスでは「原単位改善」という提案も出す。これは、例えば販売店ならば「売上に対してどれくらいの電力を使っているか」を示す値を算出し、新たな節電方法を見つけ出すものだ。
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