高所作業車の予約から返却まで総合管理するアプリを竹中工務店が開発、朝日興産を介して外販も:現場管理
竹中工務店は、建築現場向けアプリ「位置プラス」のラインアップに、高所作業車の管理機能を備えた「高車管理」を追加した。高車管理では、高所作業車の位置情報や予約状況がモバイル端末やPCでリアルタイムに確認できるため、元請け、協力会社、レンタル会社の手間が低減されるとともに、運用コストの削減も見込める。
竹中工務店は2021年6月30日、建築現場向けアプリ「位置プラス」シリーズの新ラインアップで、高所作業車の位置や予約などを総合的に管理できるアプリ「高車管理」を開発し、同年7月1日からグループ会社の朝日興産を通じて外販を開始するとリリースした。
高所作業車の位置管理・予約・配車・返却に要する手間・コストを削減
近年需要が増えている大型物流倉庫をはじめ、生産施設、商業施設、病院などの建築工事では、内装・設備工事の足場で多くの高所作業車を使用している。しかし、高所作業車の管理は、元請け職員や協力会社職長にとって手間の掛かる業務となっていた。
そこで、竹中工務店では高所作業車の管理効率化を目的にモバイル端末用のアプリとして、2016年に高所作業車の位置を探索する「位置プラス探(たん)」、2018年には予約管理アプリ「高車予約」を発表。これまでに、他社を含む全国50以上の作業所で活用してきたという。
今回、高所作業車の管理に関わる機能を統合するとともに、さらなる業務効率化の機能を追加し、位置プラスシリーズの新ラインアップで、高所作業車の総合管理アプリをリリースするに至った。
総合管理アプリの高車管理では、高所作業車の位置をマップ上で検索して、利用する車両を探す手間が省けるようになる。予約の際は、作業所が高所作業車を1クリックするだけで完了する。その際に元請け職員の権限で、日々の予約とは別に、協力会社の専用車としても割り当てられる機能も備わっている。
また、現場全体やフロアごと、協力会社ごとに予約履歴を集計するため、予約率を見える化することも可能で、配置見直しが必要なフロアや台数調整が必要な協力会社、予約されていない高車を素早く特定し、現場全体の予約率を高める車両運用が実現する。
位置情報信号を発するビーコンと連携することで、1日ごとに高車位置の移動があるかどうかを判定する簡易稼働率を算出し、大まかな稼働状況も把握。利用状況の確認手段としては、協力会社ごとに集計した予約履歴レポート、故障時の責任分担を明確にする車両個別の予約履歴レポートの出力にも対応している。
車両の配置見直しでは、フロアマップ上に表示されている車両番号のドラッグ&ドロップで配置を変えられ、小規模や小台数の場合にはビーコンを利用せずとも、手動で位置管理が行える。
車両の返却時には、レンタル会社担当者のメールアドレスを登録しておけば、返却高車リストと引取場所の地図が入った返却依頼メールが自動送信される。
竹中工務店では、高車管理を利用台数の多い作業所で年間にして50件以上導入するとしている。同時に、グループ会社の朝日興産とともに、レンタル会社5社とも提携して、クラウドサービスとして提供できる体制を構築し、外販も行っていく方針を示している。
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