もうすぐフルハーネス完全原則化、電柱工事もカバーした3Mの「柱上作業用フルハーネス」:3Mフルハーネスに新ラインアップ
労働安全衛生法施行令の改正に伴い、2019年2月1日から6.75メートルを超える(建設工事は5メートル超)の高所で作業する場合は、フルハーネスの着用が原則化された。現在は経過措置期間にあたり、完全施行日の2022年1月2日以降は、胴ベルトや旧構造規格のフルハーネスは、基準の高さを超える作業では使用が禁じられる。
スリーエム ジャパンは2021年5月13日、電柱工事など柱上での高所作業に特化したフルハーネスで「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト 柱上作業用 フルハーネス」「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト 柱上作業用 フルハーネスSV型」の2種と、ランヤード「3M DBI-サラ EZ-Stop 柱上作業用 ランヤード」を発売し、電力・通信工事の市場に新規参入した。
2022年1月に新規格のフルハーネスが完全原則化
厚生労働省が2019年に労働安全衛生法(安衛法)施行令を改正したことにより、6.75メートル(建設工事は5メートル)を超える高所作業では「フルハーネス型」の墜落制止用器具(旧名称:安全帯)の着用が原則となった。同時に、フルハーネスの性能や安全性を担保する製品試験を規定した構造規格も見直された。現在は、完全施行の2022年1月2日までの高所でのフルハーネス着用と新規格への移行期間にあたる。
今回、スリーエム ジャパンが新たに上市する柱上作業用フルハーネスは、これまでの製品同様に新規格にも対応。電気工事の感電防止や電柱からの落下防止といった安全性に加え、快適性と作業性にも優れている。新製品の追加により、一般的な高所作業だけでなく、電力や通信工事の柱上作業もカバーすることとなり、多様な用途で人命を守る3Mのフルハーネスとランヤードのラインアップがさらに拡充された。
ニューモデルの3M DBI-サラ エグゾフィット ライト 柱上作業用 フルハーネスは、胸と背中部のランヤード接続部に金属を使用していないため、万一の感電事故を防げる。ベルトには柔らかい素材を採用し、ベルトの長さは片手で調整できる独自の回転式とし、脚部構造も邪魔になりづらく動きやすいなど、作業時の快適性を考慮して製品設計されている。安全面では、骨盤サポートベルトを装着し、万一の落下時に衝撃を効果的に分散する。もう1種類の柱上作業用 フルハーネスSV型は、スペックはほぼ同等ながら、電力用フルハーネスの規格C-901にも準拠している。
3M DBI-サラ EZ-Stop 柱上作業用 ランヤードは、フルハーネス接続側には金属を使わずにベルトループでつなぎ、ロープ部にはランヤード交換時期の目安にもなるカバーで覆い、回し掛けをして使用する際の耐久性を向上させるなど、柱上作業用として最適な性能を備える。また、ランヤードのねじれ防止のために、スイベル付フックも備えている。
スリーエム ジャパン 安全衛生製品事業部 マーケティング部 マネジャー 牛山紘郎氏は、「これまで電柱など柱上の高所作業での墜落防止は胴ベルトが主流だったが、政省令の改正により、柱上作業でもフルハーネスの着用が求められる。そうしたなかで、作業者の安全を守ることは当然ながら、現場で作業するユーザーの声に基づき、より快適な着用感と作業性を高めた製品開発に注力した」と話す。
新製品の最大対応質量は、フルハーネス2種とランヤードいずれも130キロまで。価格は、3M DBI-サラ エグゾフィット ライト 柱上作業用 フルハーネスと、柱上作業用 フルハーネスSV型がともに1万8000円で、3M DBI-サラ EZ-Stop 柱上作業用 ランヤードは9200円(全て税別)。
スリーエム ジャパンでは今後、製品提供のみにとどまらず、ユーザーへ新しいフルハーネスとランヤードの重要性や選択方法などのトレーニング活動も展開し、高所作業の安全に貢献していく方針を示している。
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