外壁を取り付ける下地となる胴縁材の新たなユニット工法、鍛冶工の人工を削減可能:施工
東急建設は、物流倉庫や工場などの大規模建物で外壁を取り付ける下地の胴縁材を、事前に高い精度でユニット化する工法を開発した。今後、同社は、新工法を標準仕様とすることで、需要が増加している物流倉庫などの建物で施工の生産性を高める。
東急建設は、物流倉庫や工場などの大規模建物で外壁を取り付ける下地の胴縁材を、事前に高い精度でユニット化する工法を開発したことを2021年年4月28日に発表した。
層間フサギ工事を先行して実施可能
近年、物流倉庫や工場といった建物の外壁は、仕上材となる金属断熱サンドイッチパネルと取り付け下地の胴縁材で構成されているケースが多い。だが、胴縁材の部材数が大量で、クレーンなどで各部材を揚重し設置する施工方法では効率が悪く、事前に組み立てる(地組み)ユニット化が業界では検討されていた。
しかし、これまでは、地組みの精度に課題があり、下地ユニットを取り付ける際に、再度配置する位置の調整を行う必要があった。そこで、東急建設は今回の工法を開発した。
新工法では、下地胴縁の地組み作業に先行して、精度調整用の水平架台を制作し、架台上でユニット化を行う。ジャッキなどのユニット構成材料は、場所を選ばず準備可能で、平らでない地盤面でも水平精度を容易に確保する。さらに、水平精度を保った下地胴縁をユニット化して吊り込めるため、胴縁材の位置を整える手間も無い。
また、あらかじめ、下地の精度を確保し、隙間寸法を統一していることから、耐火処理を目的に外壁と床の隙間に実施する「層間フサギ工事※1」を先行して行える。加えて、胴縁の組み立てから外壁のセットまでに伴う鳶(とび)工事は従来同等のスピードで実施でき、精度の良い下地面に施工に応じ、調整に要する鍛冶工の人工を減らせる。
※1 層間フサギ工事:外壁と床の隙間に耐火処理として、外壁工事後にロックウールなどを充填する工事
なお、パネルと下地胴縁のユニット化について、東急建設は開発を検討したが、後施工部への対応が難しくなるなどの課題があったため、胴縁のみのユニット化へ開発を切り替えた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3Dプリントは建設業界で事業化できるか?クラボウが2024年度10億円の市場開拓に乗り出す
3Dプリンタを建設領域で活用する動きは、海外では先行してコンクリートを積層することで住宅建築や橋梁の造形などといった用途展開が見いだされている。国内では、建築基準法による素材や構造上の縛りがあるため、大手ゼネコンや研究機関での検討は進んでいるものの実用化にはまだ道のりは遠い。そうしたなか、住宅メーカー向けに建築用化粧材を製造しているクラボウでは、フランス製の大型3Dプリンタを導入し、建設業界を対象に3Dプリンティング事業を立ち上げた。セメント系/非セメント系を問わず、新規材料の開発で製作可能なデザインの幅を広げ、土木・インフラ分野などでの提案も図ると同時に、海外市場への参入も視野に入れている。 - 高炉スラグで代替した天然石材調の内装仕上げ材、製造過程でCO2を8割減
大成建設は、建材の製造過程で発生するCO2排出量削減を目的に、低コストで意匠性に優れた天然石材調の内外装材「T-razzo」を開発した。 - 意匠性チタン「TranTixxii」が新潟県の基幹スポーツ施設「謙信公武道館」で採用
日本製鉄が2017年にリリースした意匠性チタン「TranTixxii」は、軽量(比重は、鉄の60%、銅の50%程度)で、高所作業の効率化や工期短縮、耐震性向上による躯体構造への負荷軽減に役立つ点などで評価されており、堅調に導入件数を増やしている。2019年12月1日には、新潟県上越市で開業した「謙信公武道館(新潟県立武道館)」の外装(屋根)とサインにも採用された。 - 神宮前交差点に10階建て商業施設、建築家・平田晃久氏が外装デザイン
東京渋谷の「表参道」と「明治通り」が交差する「神宮前交差点」で、総事業費180億円を投じて計画されている再開発プロジェクトのイメージパースが公表され、2020年11月から本格着工することとなった。外装・屋上のデザインは、業界での注目度の高い平田晃久建築設計事務所が担当し、原宿・表参道エリアに奇抜な外観を備える新しいランドマークが創出される。 - 大成建設が“CO2を8割削減”する環境配慮コンクリの研究会を設立
大成建設は、環境配慮コンクリート「T-e Concrete」の普及展開を目的とした研究会を設立した。T-e Concreteは、産業副産物を利用することで、製造に由来するCO2排出量を最大で80%削減できる同社が開発した環境配慮コンクリート。 - 東急建設が「プラスリム工法」を改良、外断熱仕様と薄型大判タイル仕上げが可能に
東急建設は、タイル仕上げ外壁の改修工事向けに開発した乾式外壁被覆改修工法「プラスリム工法」を改良し、外断熱材の使用や薄型大判タイル仕上げに対応できるようにした。