高炉スラグで代替した天然石材調の内装仕上げ材、製造過程でCO2を8割減:新建材
大成建設は、建材の製造過程で発生するCO2排出量削減を目的に、低コストで意匠性に優れた天然石材調の内外装材「T-razzo」を開発した。
大成建設は、低コストかつ高いデザイン性も有する天然石材調建材「T-razzo」を開発し、神奈川・横浜市の同社技術センター実験棟のエントランスピロティと屋外階段に初適用したことを公表した。
CO2排出量を削減し、低コストでバリエーション豊富
内外装仕上げ材では、希少となりつつある天然石を使用する代替として、天然石の素材に似せた建材「擬石」などが用いられている。従来の擬石は、セメント系材料を使用して天然石材のような意匠性の高い建材を実現するため、顔料による着色と相性の良い「白色セメント」を使っていた。しかし、白色セメントは全て海外から調達していたため、材料コストが割高だった。
そこで大成建設では、高炉スラグなどを利用して製造過程で生じるCO2排出量を約10〜80%削減する環境配慮コンクリート「T-eConcrete」の技術を転用し、コンクリート2次製品として、天然石材調のT-razzoを開発した。
T-razzoは、白色セメントの代わりに、溶鉱炉で銑鉄と同時に生成される産業副産物の高炉スラグを使用している。このため、セメント使用量がゼロとなり、製造過程で発生するCO2排出量は最大で約80%削減される。コスト面でも、高炉スラグを代用するため、材料費で約10%のカットが見込める。
意匠性については、高炉スラグと天然の砂や砂利の「種石」を混合し、表面を研磨して製造することで、顔料による着色が可能で、混合する種石素材やさまざまな着色など、さまざまなバリエーションを製造できる。
今後、大成建設では、T-razzoの素材や着色などによる多様なバリエーションを生かし、車止め、植栽ブロック、公園などの水飲み場などへも適用範囲を拡げていくとしている。また、製品展開については、自社だけでの導入に限らず、外販も予定しているという。
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