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大地震によるRC造建物の柱と梁の接合部で生じる損傷を防ぐ新構法、耐震性能を10%向上耐震

大成建設は、大地震時の揺れによるRC造建築物の柱と梁(はり)の接合部で生じる損傷を防止し、耐震性能を向上させる技術「T−HR構法」を開発した。今後、同社は、T−HR構法の適用範囲拡大を図るとともに、安全安心で耐震性に優れた高品質なRC造建築物を提供するため、T−HR構法の提案を行っていく。

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 大成建設は、大地震時の揺れによるRC造建築物の柱と梁(はり)の接合部で生じる損傷を防止し、耐震性能を向上させる技術「T−HR構法」を開発したことを2021年4月26日に発表した。

従来構法と比較して全体の鉄筋量は変わらず

 一般的なRC造建築物の構造設計では、耐震性を確保するため、梁の端部に応力を伝達し、柱梁接合部での塑性ヒンジ※1の回転変形によって地震エネルギーを吸収することで接合部の損傷を防ぐ仕組みが適用されている。

※1 塑性ヒンジ:引張側の主筋が全て弾性限界を超えた後に耐力を保持しながら自由に回転できる状態

 しかし、大地震による過大な変形が接合部に作用するとヒンジの弾性限界を超え、接合部の内部にまで損傷が進展する恐れがある。この接合部は建築物を支える柱の一部で、損傷すると補修が困難な部位であるため、大地震後でも建築物を継続利用するには、接合部での損傷を避けなければならない。

 そこで、大成建設は、梁端部の主筋に高強度鉄筋あるいは太径鉄筋を用い、それらを梁中央部の普通鉄筋と機械式継手で接続し、大地震時に発生する塑性ヒンジの位置を柱面から梁中央側に移動させること(ヒンジリロケーション)で、柱梁接合部に生じる損傷を防ぎ耐震性を向上させるT−HR構法を開発した。


「T−HR構法」の概要 出典:大成建設

 T−HR構法は、梁端部の主筋に用いる高強度鉄筋(SD490級以上)あるいは太径鉄筋(D38以上)と、梁中央部の普通鉄筋を機械式継手で一体化することで、ヒンジリロケーションを実現する。従来構法と比較して全体の鉄筋量を変えることなく、建築物の耐震性能を約10%上げられる。


大地震時の変形状態、従来(左)とT−HR構法(右) 出典:大成建設

新工法を適用する共同住宅「北8西1地区第一種市街地再開発事業 施設建築物(A棟)」 出典:大成建設

 また、梁端部と梁中央部の主筋を接続する際には、モルタル充填式の機械式継手を使用しており、柱や梁を工場で製作し現場で架設するプレキャスト化にも容易に対応する。さらに、現場打設する場合と比較して短工期で高品質なRC造躯体を提供できる。

 大成建設は、既に、北海道札幌市北区で開発中の共同住宅「北8西1地区第一種市街地再開発事業 施設建築物(A棟)」で地上部の梁端部4360箇所にT−HR構法を初適用している。この建物は、RC造地下2階/地上48階建て、延べ床面積は9万8600平方メートルで、最高高さは176メートル。所在地は北海道札幌市北区北8条西1丁目。同社は、新構法の初適用に当たり国土交通大臣の個別認定を取得している。

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