鉛直接合部の工種削減を実現した安藤ハザマ式プレキャスト耐震壁工法:新工法
これまで、プレキャスト耐震壁は、壁板と付帯柱や壁板相互の接合部において、プレキャスト部材から突出する相互の鉄筋を溶接や継手(つぎて)によって接合するのが一般的だった。結果として、接合部の幅が広くなり、現場での配筋や溶接、型枠取付・脱型など、複数の作業が必要だった。安藤ハザマはこういった作業を効率化した鉛直(えんちょく)接合部の工法を2タイプ開発した。
安藤ハザマは2020年2月7日、耐震壁構造のプレキャスト化技術「AHPCa-Wall工法」を開発し日本建築総合試験所から建築技術性能証明(GBRC 性能証明 第19‐10号)を2019年12月12日付で取得したと発表した。
従来比で工期を1〜2日短縮
AHPCa-Wall工法は差し筋とU字筋形式の2タイプをラインアップしている。差し筋形式は、付帯柱とプレキャスト壁板の接合部を対象としており、付帯柱および壁板の建て方後、両部材をつなぐように、あらかじめコンクリート内に埋設したシース管に鉄筋(水平接合筋)を挿入し、鉛直(えんちょく)接合部とシース管内にモルタルを充填することで一体化する。
プレキャスト部材の設置後、水平接合筋を横から差すため、プレキャスト部材から鉄筋の突出が無く、部材の製造と運搬時における取り回しが容易だ。また、目地幅が小さいため、簡易な目地止めを設けてモルタルを充填するだけで接合部の施工が完了する。
一方、U字筋形式は、接合面側にU字形状の接合筋を突出させる形で付帯柱および壁板プレキャスト部材を製作する。鉛直接合部にはコンクリートまたはモルタルを充填し、接合させる。U字形状の接合筋を重ね合わせる形式であるため、配筋や溶接、継手(つぎて)の作業が不要で、目地止めや簡易な型枠を設けるだけで施工が行える。
いずれも従来のプレキャスト工法と比較して、工種を減らし省力化を実現するため、1サイクルにおける工程に要す期間を約1〜2日短縮する。
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