レベル2地震動の揺れを最大60%抑える「ダイス・ロッド式摩擦ダンパー」:第25回「震災対策技術展」横浜
青木あすなろ建設は、首都高速道路と共同で開発した制震デバイス「ダイス・ロッド式摩擦ダンパー」が、2021年2月5日に国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたことを発表した。
青木あすなろ建設は、第25回「震災対策技術展」横浜(会期:2021年3月17〜18日、パシフィコ横浜)に出展し、首都高速道路と共同で開発した制震デバイス「ダイス・ロッド式摩擦ダンパー」を披露した。
構造物の耐震補強に20年以上利用しても性能を維持
ダイス・ロッド式摩擦ダンパーは、クロムモリブデン鋼製の筒「ダイス」やりん青銅製の芯棒「ロッド」、機械構造用炭素鋼管を使用した「内筒」と「外筒」で構成されており、橋梁の橋桁(はしげた)と橋脚の間に設置することで橋梁の耐震性を向上する。ダイスの内径より太いロッドがダイスに嵌合したものを内筒と外筒が包む構造になっており、ロッドにはダイスの締め付け力が働いている。この締め付け力は、中規模の地震「レベル1地震動」が起きた時に、橋の上部工を固定する力として作用し、橋桁が外れることを防ぐ。
青木あすなろ建設の担当者は、「最大規模の地震“レベル2地震動”が発生した際には、ダイス・ロッド式摩擦ダンパーは、エネルギー吸収装置としての役割を果たし、橋の揺れを30〜60%抑え、橋脚基部の損傷を防止する。具体的には、ダイスがロッド上を摺動(しゅうどう)することで、摩擦力が生じ、地震の振動エネルギーを摩擦熱に変換し吸収し、地震の揺れを減衰させる。発せられた摩擦熱は、ロッドとダイスを内筒と外筒が覆っているため、外に漏れない」と説明した。
続けて、「当社では、ダイス・ロッド式摩擦ダンパーに対し高速加振実験を実施し、地震により毎秒100センチを超過する速度で最大150ミリを超える振幅で滑動させても、優れた耐震性能を発揮することを確かめた。さらに、ダイス・ロッド式摩擦ダンパーの経年特性確認試験も行い、構造物の耐震補強に20年以上利用しても、ダイスの締め付け力や摩擦力などの性能が下がらないことを明らかにした」と付け加えた。
青木あすなろ建設と首都高速道路は、既に、首都高速11号台場線で、ロッキング橋脚を備えた橋梁の橋軸直角方向において、レベル2地震動発生時に下部構造の損傷を低減する対策として、ダイス・ロッド式摩擦ダンパーを2017年12月29日〜2021年5月11日の工期で6基導入した。
青木あすなろ建設の担当者は、「2016年に発生した熊本地震で熊本県内にあるロッキング橋脚の橋梁に搭載された橋桁が外れた事例を知った首都高速道路が、保有するロッキング橋脚の橋梁で橋桁の落下を起こさないことを目的に開発したのがダイス・ロッド式摩擦ダンパーだ」と経緯をコメントした。
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