無人ホテルの受付をアバターに、人件費を75%削減する実証実験がスタート:導入事例(2/2 ページ)
SQUEEZEは、運営する小規模無人スマートホテルの顧客満足度を高めるとともに、水光熱費を削減するため、パナソニックシステムデザイン製の遠隔コミュニケーションシステム「AttendStation」とパナソニック製の電力モニタリング兼遠隔コントロールシステム「AiSEG 2」を用いた実証実験を東京都大田区西蒲田の無人ホテル「Minn 蒲田」で開始した。
AiSEG 2で部屋ごとの電気代を約10%削減
今回の実証実験では、AttendStationを用いて、遠隔地のコンシェルジュがホテル内に設置されたデジタルサイネージ上のアバターを介し、ゲストに応対・接遇を実施する他、AiSEG 2を利用して、水光熱費を緻密に把握・管理し、コストを減らせるかを検証する。
AttendStationは、遠隔地のデジタルサイネージやモニターにアバターを投影し、顧客から離れた場所にいるフロントコンシェルジュがアバターを通して、利用者の接客や問い合わせ対応が行える。特徴は、フロントコンシェルジュの表情や動作に合わせてアバターを動かせ、アバターを使用しない時はデジタルサイネージのカメラでフロントの状況も確かめられる点。
2021年6月9日に開催されたオンライン記者発表会で、SQUEEZE 取締役 COO 山口陽平氏は、「実験では、AttendStationを当社のsuitebookと連携させ、カンボジアの子会社SQUEEZE Asiaのスタッフに、遠隔でアバターを介し宿泊客への接客を行う。これにより、ゲストの満足を損ねずにフロント人件費をこれまでと比べて約75%削減する。将来的には、会話ログの解析によるサービスの改善や宿泊客のスマートフォンでもアバターを使えるようにし周辺にある観光地の情報や広告の発信を可能とし、収益の向上につなげる」と構想を明かした。
また、AttendStationには、リアルタイム翻訳機能が実装され、マルチリンガル不要で多言語対応での対話を実現する予定だ。リアルタイム翻訳機能により、インバウンドへの応対も含めて、顧客満足度を下げることなく、接客業務の省力化と省人化を行えるようになる。
AiSEG2は、IoTやAI、配線器具、開閉センサーなどの技術を融合した「HOME IoT」の中核機器「HEMS( Home Energy Management System)」で、エネルギーのコントロールに加え、スマートフォンのアプリにより、家庭のさまざまな機器を制御することにも応じている。
「実験では、住宅分野で展開してきたAiSEG2を住空間同様のホテル居住空間へ活用することで、部屋ごとの電気代を緻密に把握し、採算の見える化により原価管理を推進する。さらに、AiSEG2をsuitebookと連携させることで、ゲストのチェックイン・アウトに連動して、空調と照明のスイッチをオン/オフさせ、部屋ごとの電気代を約10%削減する。将来的には、顧客がチェックアウトするタイミングの把握や電力使用データによる滞在状態、電気機器の使用有無を可視化し、水光熱費の低減や清掃業者の最適な配置を可能とし、コストカットを達成する」(山口氏)。
今後、SQUEEZEは、実証実験で得た知見をベースに、同社のソリューション事業で、suitebookやAttendStation、AiSEG2をパッケージ化し、業界の約66%を占める中小規模のホテルを中心に提案して、市場全体でフロント人件費9000億円の省人化も視野に入れ、シェア拡大を図る。
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