古河電工のエネルギーインフラ事業、2020年度はコロナの影響で営業利益は19億円の損失:産業動向(3/3 ページ)
古河電気工業が展開するエネルギーインフラ事業の2020年度実績は、新型コロナウイルス感染症の影響や新規材料の強化費用といった特殊要因が作用し、売上高は前年度割れの1009億円にとどまり、営業利益は19億円の損失となった。
2025年度までにらくらくケーブルで売上25億円を目標に
産業電線・機器事業の周辺環境について、建設・電販市場はコロナ禍に起因する損失から回復傾向にあるが、中長期的には需要減少は避けられず、少子高齢化の進行で労働人口も減少している。
再生可能エネルギー市場では、政府の2050年カーボンニュートラルで、再生可能エネルギーの主力電源化が進み、データセンター市場では、近年のデータ通信量増加により、データセンターのインフラ整備と機能強化が求められている。防災市場では、自然災害の頻発化と激甚化に伴い、送電網強靭化の必要性が高まっている。
こういった状況を踏まえて、古河電工は、建設・電販市場ではらくらくアルミケーブルの拡販を積極提案していく。
古河電工の中里氏は、「らくらくアルミケーブルの拡販では、施主とゼネコンの顧客から案件情報を早期に取得し、らくらくアルミケーブルを提案する。サブコンの営業部門・設計部門には設計サポートとトータルコスト削減に貢献する製品だと紹介していく。2020年4月に神奈川県平塚市で開設されたらくらくアルミケーブル技能訓練センターで、定期的に講習会を開き、らくらくアルミケーブルの使用法をユーザーにレクチャーして、利用者を増やして、2025年度までにらくらくアルミケーブルで売上高25億円を目指す」とコメントした。
再生可能エネルギー市場では、太陽電池モジュールと接続箱間の配線で役立つ太陽光発電用ケーブルやパワーコンディショナー内の盤内配線として有効な盤内配線用ケーブル、パワーコンディショナーとトランス間における狭小部の配線として機能する狭小部配線用ケーブルを販売する。
データセンター市場では、サーバラック内などの曲げ半径に制限がある狭小部の配線に最適なコネクター付きケーブルを訴求し、防災市場ではポリマー製ジャンパーがいしを売り出す。ポリマー製ジャンパーがいしは、磁器がいしと比較して重さは約7分の1で、塩害によるトラッキング被害軽減に効果がある。古河電工では、磁器がいしからの交換需要と送電線新設需要で、2025年度までにポリマー製ジャンパー碍子で売上高10億円を目標に掲げる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 三井住友建設らが高さ200m級の風力発電用タワーと架設用機械の開発に着手
三井住友建設とオランダに本社を構えるMammoetは、高さ200メートルの風力発電用タワーと専用架設機械の共同開発をスタートした。三井住友建設は、今回の開発で得られた知見と技術を生かし、欧州の風力発電事業への参入も構想している。欧州の基準に詳しい設計コンサルタントとも協働していく予定だ。 - NTTコムウェアがインフラ点検分野に本格参入、第1弾はAI施工検査と情報共有クラウド
NTTコムウェアは、AI施工検査サービス「Infratector typeC」及び現場とオフィスの情報共有クラウドサービス「フィールドコラボ」を開発した。 - 戸田建設がブラジルで陸上風力発電・売電事業に着手
戸田建設は、ブラジルで、陸上風力発電・売電事業を展開する現地法人2社を設立した。両社は、現在、発電出力が27.72MW(メガワット)に及ぶ陸上風力発電施設の開発を進めている。 - 大林組が六ヶ所村で約1.7万世帯の電力を供給する風力発電所の建設に着手
大林組は2017年、秋田県三種町で合計出力6メガワットの陸上風力発電所「三種浜田風力発電所」を完成させ、2018年に運転を開始した。2020年には、三種浜田風力発電所に次ぐ2件目となる陸上風力発電所の建設工事を青森県六ヶ所村で開始した。 - 風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用、鹿島
鹿島建設は、山形県米沢市板谷で、2018年9月から着手している「いちご米沢板谷ECO発電所建設工事」における風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用した。今後、同社は、風車用タワークレーンを積極的に導入し、大型化する風車の建設に対応して、顧客の風力発電事業における収益向上に貢献していく。