三井住友建設らが高さ200m級の風力発電用タワーと架設用機械の開発に着手:産業動向
三井住友建設とオランダに本社を構えるMammoetは、高さ200メートルの風力発電用タワーと専用架設機械の共同開発をスタートした。三井住友建設は、今回の開発で得られた知見と技術を生かし、欧州の風力発電事業への参入も構想している。欧州の基準に詳しい設計コンサルタントとも協働していく予定だ。
三井住友建設とオランダに本社を構えるMammoetは、高さ200メートルの風力発電用タワーと専用架設機械の共同開発に着手したことを2021年1月8日に発表した。
新工法は大型クレーンの使用が不要
風力発電の開発では、これまで、大型クレーンを用いて、高さ100メートル前後の風力発電用タワーを建設するケースが多かった。しかし、近年、発電機の大型化に応じる高さ200メートル級の風力発電用タワーが求められており、高さ200メートルを実現するタワー構造と架設機械の開発は急務となっている。そこで、三井住友建設とMammoetは高さ200メートルのタワー構造と専用架設機械の共同開発をスタートさせた。
Mammoetは、三井住友建設が特許を取得したセルフクライミング工法に応じる架設機械を作る。この架設機械は、200メートル級の風力発電用タワーで、風力発電の頭部に位置する増速機や発電機、ブレーキ装置などを格納した容器「ナセル」と長尺である風力発電用の羽部「ブレード」の架設にも対応する。
セルフクライミング工法では、タワーの部材を架設機械で吊(つ)り上げながら、タワーの高さがまだ低い初期段階で通常のクレーンを使用し、重量物であるナセルを頂部に搭載。ブレードは、取り付けられる長さまでタワーを建設した時点でナセルに装着する。セルフクライミング工法のメリットは、大型クレーンを利用せずに済み、施工費を下げられることにある。
また、200メートル級のタワーは従来の鋼製では剛性が不足するため、コンクリートまたは鋼とコンクリートのハイブリッド構造にしなければならいことを踏まえて、三井住友建設は200メートル級のタワーに適した構造を開発する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本初、戸田建設が超高層の建築作業所で100%再生可能な電力を使用
戸田建設は、工事現場で使用する電力を再生可能なエネルギーに由来するものに切り替えることを推進している。 - 五洋建設が12MWの水上風力発電を建設可能な「SEP船」建造に着手
五洋建設、鹿島建設、寄神建設の3社は、10〜12メガワットクラスの着床式洋上風力発電施設を建設できるSEP型多目的起重機船を共同で建造する。投資額185億円で、2022年9月の完成を目指す。 - 300mを潜行するFullDepthのクラウド型水中ドローン、ダムや洋上風力発電の点検に導入
水中ドローンに特化して機体の開発とクラウドサービスを展開しているFullDepthは、2019年10月に最大潜行深度300メートルの新機種を市場投入した。 - 五洋建設がSEP船有すDEME Offshoreと洋上風力建設で協業
国内で、港湾区域と一般海域で洋上風力発電設備の開発を促進する法律が整備され、全国各地で洋上風力発電の開発が活発になっていることを受け、五洋建設も、DEME Offshoreと手を結び、海上での風力発電建設へ本格的に乗り出した。 - 応用地質が斜面を対象に、災害リスクをレポート化するサービス開始
応用地質は、自然斜面の他、切土や盛土、法面といった人工的な傾斜地を含むあらゆる斜面の危険度を自動で診断し、リスクレポートを作成するサービスを展開している。レポートを活用すれば、企業の保有する不動産や事業用地を対象にしたリスク評価、事業継続計画(BCP)の策定にも役立つとしている。 - 風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用、鹿島
鹿島建設は、山形県米沢市板谷で、2018年9月から着手している「いちご米沢板谷ECO発電所建設工事」における風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用した。今後、同社は、風車用タワークレーンを積極的に導入し、大型化する風車の建設に対応して、顧客の風力発電事業における収益向上に貢献していく。