風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用、鹿島:導入事例
鹿島建設は、山形県米沢市板谷で、2018年9月から着手している「いちご米沢板谷ECO発電所建設工事」における風力発電所の施工に風車用タワークレーンを適用した。今後、同社は、風車用タワークレーンを積極的に導入し、大型化する風車の建設に対応して、顧客の風力発電事業における収益向上に貢献していく。
鹿島建設は、山形県米沢市板谷で、2018年9月から手掛けている「いちご米沢板谷ECO発電所建設工事」に風車用タワークレーンを適用し、これまで困難だった狭小地での大型風車の施工に成功した。
最大吊り上げ荷重は140トン
近年、風力発電所の風車は、発電量の増強を目的に、風車に取り付けられたハブ(軸と羽根の連結部分)の位置がより高く、ローター(羽根の回転円)の面積もより広くなっている。風車が大型化する一方、昨今は、従来開発が許されなかった国有林と保安林を含む山岳地での風車の建設計画が増え、周辺環境への影響を最小限に留めるため、開発面積や造成土量を縮減する施工方法が求められていた。
そこで、鹿島建設は、狭い建設地でも、大型風車の施工を円滑に進められる風車用タワークレーンの現場導入に踏み切った。
今回適用した風車用タワークレーンは、北川鉄工所が開発したもので、最大作業高さが150メートルに及び、最大吊(つ)り上げ荷重は140トン。重量のある部材をユニット化して高所に揚重(ようじゅう)できるため、これまで分割して行っていた揚重作業と高所での部材組み立て作業を削減し、安全に風車を組み立てられる。
また、従来風車の施工で、一般的に使われてきた移動式クレーンなどと比較して、作業半径を半分以下に抑えられ、無用な森林伐採など周辺環境にも悪影響を与えない。
いちご米沢板谷ECO発電所建設工事は、2メガワット(MW)クラスの風車を4基建設する予定で、竣工は2021年1月を見込んでいる。
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