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「建設総合統計」に見る建設市場の動向、「手持ち工事高は豊富で短期は堅調」建設業の人材動向レポート(32)(2/2 ページ)

本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポート。今回は、国交省の「建設総合統計」を基礎資料に、建設市場の動向を探っている。

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■手持ち工事高は豊富であり、短期的には建設業の市場環境は堅調に推移

 次に、将来の先行指標となる手持ち工事高(契約済みの建設工事の請負金額のうち、未着手の工事に相当する金額分)の推移は、2020年は8月に僅(わず)かに前年同月を下回ったが、それ以外の月は全て前年同月を上回っている(図表3)。2021年1月においても手持ち工事高は、前年同月比2.3%増の30兆994億円で、短期的には豊富な手持ち工事量を背景に、建設業の市場環境は比較的堅調に推移するのではないかと考えられる。


【図表3 手持ち工事高の推移】 出典:国土交通省「建設総合統計」よりヒューマンタッチ総研が作成

■手持ち工事高は民間及び公共の土木工事が前年同月を大きく上回る

 2021年1月の手持ち工事高の発注者別・工事種類別では、民間建築・居住用が対前年同月比▲4.0%、民間建築・非住宅用が同▲0.3%と減少しているのに対して、民間土木は同+10.3%、公共土木が同+4.7%と前年同月を大きく上回っており、当面は官民の土木工事が建設市場を下支えする構造となりそうである(図表4)。


【図表4 2021年1月における発注者別・工事種類別の手持ち工事高】 出典:国土交通省「建設総合統計」よりヒューマンタッチ総研が作成

■まとめ

 建設総合統計のデータから見て、建設工事の出来高はバブル経済崩壊以降、約20年間にわたって低迷が続いたが、2011年の東日本大震災以降は復興需要を中心とした公共工事を中心に増加基調に転じている。また、2021年の1月の手持ち工事高は、官民の土木工事を中心に前年を上回る水準であり、今後についても、短期的には堅調に推移しそうである。

著者Profile

ヒューマンタッチ総研

ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。

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