国交省が令和3年度も“BIMモデル事業”を公募、最大3000万円以下の補助金:産業動向
国土交通省は、令和2年度に続き、BIM導入メリットなどの検証などに取り組む民間事業者を募り、モデル事業として選定し、建築BIM推進会議との連携や補助金などで支援する。
国土交通省は、2020年度(令和2年度)にスタートしたBIM導入メリットなどについて検証する民間事業者を対象にした支援制度「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」について、2021年度(令和3年度)は、最大3000万円以下の補助金が支給される「先導事業者型」と、自らの費用負担で行う「パートナー事業者型」の提案を募集している。提出書類の応募締め切りは、先導事業者型が2021年4月9日、パートナー事業者型が同年4月23日。
先導事業者型は5月中旬、パートナー事業者型は6月上旬に選出
建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業は、建築BIM推進会議で策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」に沿って、設計・施工さらに維持管理の建設生産プロセスを横断し、導入効果の検証や課題分析などを試行的に行うBIMを活用した建築プロジェクトの支援事業。
先導事業者型は、令和2年度の採択事業で扱っていない検証を行うものであることと、発注者メリットの定量的な検証などを行うことが条件となっており、プロジェクトが選定されれば、検証などに要する経費で3000万円以下の費用が補助される。
パートナー事業者型については、補助金の対象外となるものの、建築BIM推進会議との連携や提言を行うことを主目的としている。
採択の決定は、事業の事務事業者が設置する学識経験者から成る審査委員会の審査結果を踏まえ、先導事業者型は5月中旬頃に、パートナー事業者型は6月上旬に、それぞれ国土交通省が決定し、応募者に通知する。
前回、令和2年度のBIMモデル事業は、応募件数40件のうち、8件が選ばれ、最大で5000万以下の補助金を受けた。モデル事業には選定されなかったが、学識経験者らにより、建築BIM推進会議と連携して検討内容の熟度を高めることで、成果物の公表後に、発展性・波及性が見込まれると評価された14件の事業は、「連携事業」と位置付けられ、モデル事業同様に国交省のWebサイト上で検証結果報告書を公開している。
なお、国交省では今後、中小事業者を対象にした「中小事業者BIM試行型」(仮称)のモデル事業も、別途募集を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(16):【最終回】日本のBIM先駆者が遺す「BIMの先にしか実現しないDXという未来」
2020年の3月23日にこの連載が始まって、1年が経つ。第1回で、「なぜ日本のBIMはダメなのか?」というテーマでスタートし、今回の連載で16回目となる。この1年の節目で、一旦筆を置かせていただくことにする。第1回で、「なぜ日本のBIMはだめなのか?」と書いたのは、単にダメなことを指摘するということではなく、逆に、BIMを正しく認識し、本来あるべき道に進んで欲しいと願ったからである。この連載を書いた2020年という1年間で、国土交通省の建築BIM推進会議との連携事業や日本初のISO 19650-1,2の認証などに取り組み、その中で私なりのBIMのあるべき姿を実践できた。最終回では、前回書き残した連携事業での維持管理領域での取り組みと、BIMの先にある“DX”という未来について書いておく。 - BIM:ビル用マルチエアコン38機種のRevitモデルを提供、三菱重工サーマルシステムズ
三菱重工サーマルシステムズは、ビル用マルチエアコンの38機種を対象に、Revit対応のBIMモデルを無償提供する。 - BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(15):BIM導入のメリットを検証する「大和ハウス工業チームの連携事業」Vol.3
2020年に国交省が公募した「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」とは、策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(2020年3月)に沿って、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトで、BIM導入の効果検証や課題分析などを試行的に行う施策である。当社は、モデル事業に選ばれなかったが、連携事業として子会社のフジタとともに、設計〜施工〜維持管理で、プロセスを横断してデータを一気通貫での活用に取り組んだ。仮想の建物ではあったが、BIMの活用において、当社のBIMの取り組みを最大限に発揮する絶好の機会となった。今回は前回に続き、我々の連携事業の、施工段階移行の具体的な取り組みについて、説明を加える。 - BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(14):BIM導入のメリットを検証する「大和ハウスグループチームの連携事業」Vol.2
2020年に国交省が公募した「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」とは、策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(2020年3月)に沿って、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトで、BIM導入の効果検証や課題分析などを試行的に行う施策である。当社は、モデル事業に選ばれなかったが、連携事業として子会社のフジタとともに、設計〜施工〜維持管理で、プロセスを横断してデータを一気通貫での活用に取り組んだ。仮想の建物ではあったが、BIMの活用において、当社のBIMの取り組みを最大限に発揮する絶好の機会となった。今回は前回に続き、大和ハウス工業の連携事業について、設計段階での具体的な手法を解説していく。 - BIM:構造計算モデルと構造BIMモデルのデータ連携を拡充、清水建設
清水建設は、BIMモデルで構造設計の関連情報を一元管理するべく、Revitモデルのデータ連携を拡充する機能を構築した。既に実物件10件に適用して両機能がデータ変換と部材断面表の作成業務を短縮させる有効性を確認しており、今後は全社の設計部門に水平展開するという。 - BIM:“生産設計BIM”で設計と施工・BIMとCIMを繋ぐ「GLOOBE」最新版、施工BIMを新規追加
国産BIMソフト「GLOOBE」がアップデートし、設計と施工のBIMモデルの連動性を高めるべく、仮設・土工を対象にした施工BIM用の「GLOOBE Construction」のラインアップを新たに追加した。GLOOBE Constructionの土工計画では、BIMとCIMを繋ぎ、点群データの読み込みから、整地・掘削、その先にはICT建機とのデータ連携も実現させている。 - 電子ブックレット(BUILT):300カ所以上の杭芯墨の確認を5〜6時間で完了する奥村組のBIM測量
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードすることができます。今回紹介するのは、トプコンソキアポジショニングジャパンとオートデスクが共催したイベント「墨出し・杭打ちBIM&クラウド連携セミナー」で、奥村組が杭芯などの位置をBIMモデルで確認する「BIM測量」を説明した講演を紹介します。 - BIM:BIMモデルを“次世代の施工用図面”として一貫利用するプロセスを確立、大林組
大林組は、BIMモデルから2次元の生産設計図(施工用図面)と3Dモデルを出力して、現場の監理者や施工者、協力会社がタブレットで不整合を確認できるBIMを基盤にした次世代型生産設計図のフローを確立した。今までのように、BIMモデルに修正が入っても、その後2次元の施工用図面も変更する煩雑さが無くなり、BIMモデルの設計・施工での一貫利用が可能になるとしている。