自動運転する複数の建機を制御し協調運転を実現するシステム、大成建設:建機の自動運転
大成建設は、パナソニック アドバンストテクノロジーの独自技術であるロボット自律制御と協調タスクプランニングの技術を活用し、自動運転する複数の建機を制御し協調運転を実現するシステム「T-iCraft」を開発した。
大成建設は、自動運転する複数の建機を制御し協調運転を実現するシステム「T-iCraft(Taisei ict Construction Robot Automatic Fit Team)」を開発したことを2021年2月9日に発表した。
4機種の自動建機を同時で使用し協調運転を実証
近年、国土交通省では、人手不足や従業員の高齢化といった建設業の問題を解消するために、ICTを活用した土木工事「i-Construction」を推進している。i-Constructionの中でも、建機の自動化関連技術は、建設現場で早期に確立が望まれるテクノロジーの1つで、国交省では、2020年12月に発表した資料「国土強靭化に関する施策のデジタル化」で、無人化施工技術の安全性と生産性を向上させ、2025年度までに建設機械の自律制御・走行技術を確立することを目標に掲げている。
上記のような状況を踏まえて、大成建設では、2013年から今日に至るまで、自律的にあるいは遠隔操作で作業を行う建設機械「T-iROBOシリーズ」の開発を進め、既に「バックホウ」「クローラダンプ」「振動ローラ」の3機種で自動運転を達成した他、3機種を協調運転させることで、生産性向上を目指してきた。T-iROBOシリーズの各自動建機は、搭載された全地球測位衛星システム(GNSS)と自動運転プログラムにより設定された作業シナリオをそれぞれが自動で実行する。こういった活動の一環として、大成建設はT-iCraftを開発した。
T-iCraftは、各自動建機の位置情報と作業進捗を監視しつつ、各建機に自動運転と停止を指示して協調運転の制御を行う。さらに、大成建設が開発した建機に限らず、他社が開発した建機やロボット搭乗式の建機など、あらゆる制御方式の自動建機で協調運転を可能とするため、協調制御のプラットフォームとして機能する。
また、大成建設は、有人建機のオペレーターがタブレット端末を用いてT-iCraftと通信する「Human Operating Guidance(HOG)システム」を開発し、有人建機との協働運転にも応じられるようにした。HOGシステムの性能については、2020年3月に複数の自動建機と有人建機の協調運転について5G通信を使用して実証し、有効性を確かめた。
同社では、このほど、東京都稲城市の南山造成作業所で、バックホウ「T-iROBO Excavator」やクローラダンプ「T-iROBO Crawler Carrier」、振動ローラ「T-iROBO Roller」、ブルドーザー「T-iROBO Bulldozer」といった自動建機を使い、T-iCraftの協調運転性能も実証した。実証では、4機種の自動建機を同時で使用し、「掘削・積込」「運搬」「敷均(しきなら)し」「転圧」の施工を制御し、一連の作業で協調運転を検証した。
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