5Gを使って建設機械の自動運転と精細映像伝送を実現、大成建設とソフトバンク:情報化施工
大成建設とソフトバンクが、5Gを使った建設機械の自動運転と精細映像伝送を実証。遠隔操作と自動制御ができる建設機械システムと可搬型5G設備との連携で実現した。
大成建設とソフトバンクは2019年6月5日、遠隔操作と自動制御ができる建設機械システム「T-iROBOシリーズ」と5G(第5世代移動通信)との連携を発表、5Gを使って自動運転と精細映像伝送が行えることを実証した。
建設機械の自動運転では、制御信号などの多くの情報が送受信されるため、無線通信システムの構築が必要だった。従来の無線通信システムでは多くがWi-Fiを活用していたが、必要な通信速度・容量の不足や、多数のアンテナを設置することが課題だった。そこで課題解決の一歩として、ソフトバンクが開発した、局地的に電波品質の高い5Gを提供できる可搬型設備「おでかけ5G」を建設現場で初めて活用し、建設機械の連携について実証実験を行った。
三重県員弁郡東員町の実験場では、おでかけ5Gの局地的な5G環境を構築し、自動制御式のバックホウ(土砂掘削、積み上げ)と、クローラーダンプ(運搬、排土)に送受信装置を設置した。さらに有線ネットワーク(VPN)で、実験場と建設機械操作拠点である大成建設技術センター(横浜市戸塚区)を接続し、双方から建設機械の自動運転操作や機械に搭載したカメラ映像の伝送状況を確認した。
今回の実験では「おでかけ5G」の可搬型5G基地局を用いることで、大容量の映像および制御データをスムーズに処理でき、4Gに比べて映像の遅延時間が約10分の1以下と大幅に短くなったことが分かった。これにより、土砂の掘削、積み上げ、運搬、排土に至る一連の作業状況を遠隔地でリアルタイムに把握でき、建設機械間の制御と安全を監視しながら、現場作業を実施できるという。
今後は2020年以降の5Gの商用化に向けて、施工現場での円滑な運用を目指し、作業の効率化と通信の安定性を高めた建設機械自動化の実現に向けて、引き続き5G環境下での各種建設機械との連携など実証実験を進めていく。
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