140カ所の締固め度を約25分で自動計測する大成建設の「T-iCompaction」:新工法
大成建設らは、施工範囲全体の締固め度を、非破壊で移動しながら連続的に自動計測し、記録や配信するシステム「T-iCompaction」を開発した。実証試験では、振動ローラー前後輪の間に転輪型RI密度水分計を取り付け、420平方メートルの施工範囲内で140カ所の締固め度を約25分で自動計測した。
大成建設は、大成ロテックやソイルアンドロックエンジニアリングと、盛土や路盤施工などの土工事で、地盤の締固め状況を自動計測する品質管理システム「T-iCompaction」を共同開発した。
詳細な締固め度分布をヒートマップで可視化
道路工事や造成工事などの路盤や盛土の施工では、工事完了後の沈下による変形を最小限に留めるため、ローラなどで転圧して地盤を締固めている。
また、土の密度と含水量から算出する「締固め度」を指標に施工品質を管理するが、従来の締固め度計測方法は、施工範囲内で計測点が100平方メートルあたり1点程度しかないことや締固めた地盤から人力で試料採取と計測するという手間が掛かるなど、精度や作業性に難点があった。
そこで、大成建設ら3社は、路盤や盛土の直上から地盤内部の密度と含水量を測定できる「転輪型RI密度水分計」を用いて、地盤の締固め状況を測る新しい測定手法T-iCompactionを開発した。
T-iCompactionは、施工範囲全体の締固め度を移動しながら非破壊で連続的に自動計測し、記録や配信する。施工状況を高効率で詳細に把握し、締固め不足の見落としなどを防ぐ。GPSを利用した位置情報とも連動させ、締固め度分布をヒートマップで可視化して表示。作業完了後には、ヒートマップの締固め度分布は次の施工方法での改善に生かせる。
取得したデータは、リアルタイムでクラウドサーバにアップロードし、必要なファイル形式に変換して、関係者間で随時共有できる。これまで、作業終了後に計測データを事務所に持ち帰り、整理を行っていたプロセスの省略が可能となる。
T-iCompactionを大成建設の自動運転振動ローラー「T-iROBO Roller」に搭載することで、自動で施工と計測の同時進行が実現する。さらに、地盤の締固め度が基準に達していない範囲だけを自動で再転圧することにも対応する。
新システムの実証試験では、振動ローラーT-iROBO Rolleの前後輪の中間に、転輪型RI密度水分計を取り付け、従来は人力で4点のみ計測していた420平方メートルの施工範囲内で、140カ所の締固め度を約25分で自動計測できることを確認した。計測時間も従来と同程度で、人の手を介さずに同じレベルの測定結果を得た。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
削孔管の引き抜き不要で湧水帯の湧水量と水圧を測れる「T-DrillPacker」
大成建設は、山岳トンネル工事で、調査ボーリング削孔中に発見した湧水帯の湧水量と水圧を効率的に測れる技術「T-DrillPacker」を開発した。T-DrillPackerは、削孔途中に削孔管の引き抜きがいらないため、既削孔区間での孔壁崩壊といったリスクを避けられる。また、ボーリング削孔途中でインナービット回収とパッカー挿入を迅速に行え、従来のように削孔管を全て引き抜く方式と比べ、測定時間を20%減らせる。三井不動産が台湾・台中市にリージョナル型ショッピングセンターを初進出
三井不動産は、台湾の台中市で、複合商業施設「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと台中」の開発に着手した。台湾で開業済みの「三井アウトレットパーク 台湾林口」や「三井アウトレットパーク台中港」、開発中の「(仮称)三井アウトレットパーク 台南」を含めると、台湾5棟目のリージョナル型ショッピングセンターで、台中市では初進出となる。三菱地所が進める大手町ビル大規模改修の全貌
三菱地所は「OPEN INNOVATION FIELD」をテーマに掲げ、大手町ビルの大規模改修計画を中心に、丸の内エリアと大手町エリアの開発を進めている。ゼネコン4社らが意匠・構造・設備のBIM標準化に向け、Revit用「RC構造ファミリ」を公開
オートデスクと大手ゼネコン4社らは、これまで運用ルールがバラバラで鉄骨加工会社(ファブリケータ)などの負担となっていた構造BIMを標準化する取り組みの一環として、鉄筋コンクリートの柱と梁の構造用ファミリをリリースした。提供するファミリは、2018年末に公開した鉄骨に続くもので、RCの構造を生産・施工するために必要なBIMの部材モデルについて、建設会社と鉄骨ファブリケータなどとが、異なる会社間でも円滑に利用できるように標準化を行った。