ランドマーク的マンション開発が周辺の中古マンション価格を上げるかを検証:調査レポート
マンションリサーチは、ランドマーク的マンションの竣工が周囲に位置する中古マンションの価格アップに効果があったかを検証し、ランドマーク的マンションの完工が周りに存在する中古マンションの価格を必ずしも押し上げるわけではないことを明らかにした。
マンションリサーチは、東京都品川区のマンション「パークシティ武蔵小山ザ・タワー」と神奈川県横浜市に存在するマンション「ザ・タワー横浜北仲」の事例を基に、ランドマーク的マンションの竣工が周囲に位置する中古マンションの価格アップに効果があったかを検証し、結果を2021年3月19日に発表した。
武蔵小山では周辺中古マンションの価格上昇に影響
パークシティ武蔵小山ザ・タワーの検証では、最寄り駅である東急電鉄目黒線「武蔵小山」駅周辺の平均成約坪単価と所在地の品川区における平均成約坪単価を、パークシティ武蔵小山ザ・タワーが竣工した2019年前後で比較し、完工以降の方が価格が高くなっていることが判明した。とくに2000年築以前の物件における価格上昇が顕著だった。
上記の結果は、築古にかかわらず、武蔵小山地域の中古マンションに対する購買需要が高まった事を示唆している。従って、パークシティ武蔵小山ザタワー竣工のタイミングと武蔵小山エリアにおけるニーズ拡大のタイミングが一致しているため、パークシティ武蔵小山ザ・タワーの開発は、武蔵小山エリアにある中古マンションの相場価格アップに影響を与えたと想定した。
ザ・タワー横浜北仲の検証では、最寄り駅であるみなとみらい線「馬車道」駅周辺の平均成約坪単価と所在地の横浜市中区における平均成約坪単価を、ザ・タワー横浜北仲が竣工した2020年前後で比べ、完工以前の方が価格アップが多く、逆に竣工以降はほぼ変化が無いこと明らかになった。結果として、ザタワー横浜北仲の開発は周辺の中古マンション価格を上げなかったと推測した。
両マンションの検証結果から、ランドマーク的マンションの完工が周りに存在するマンション価格を必ずしも押し上げるわけではないという結論に至った。
パークシティ武蔵小山ザ・タワーとザ・タワー横浜北仲の概要
パークシティ武蔵小山ザ・タワーは、RC造地下2階/地上41階建てで、延べ床面積は7万5000.11平方メートル。所在地は東京都品川区小山3丁目196-1(地番)で、敷地面積は7418.67平方メートル。総戸数624戸。設計・監理は日本設計が担当し、施行は鹿島建設が担った。
ザ・タワー横浜北仲は、RC造地下1階/地上58階建てで、延べ床面積は16万8285.63平方メートル。所在地は神奈川県横浜市北仲通5丁目で、敷地面積は1万3135.36平方メートル。総戸数は1174戸。設計・施工は鹿島建設が担当した。
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