新築の戸建てと分譲マンションの最新市場動向、コロナ禍で低価格物件が好調:住宅ビジネスフェア2020(1/2 ページ)
リクルート 住まいカンパニーは、首都圏で新築戸建て住宅または新築分譲マンションを購入した一般消費者を対象に、2019年4〜8月とコロナ禍の2020年4〜8月に動向調査を行った。結果、新型コロナウイルス感染症の影響で、完工した戸建て住宅のニーズが高まったことや低価格の一軒家を購入する一般消費者の増加を明らかにした。
リクルート 住まいカンパニー SUUMO編集長 兼 SUUMOリサーチセンター長 池本洋一氏は、住宅の設計・施工や修繕、管理に役立つソリューションが展示された専門展「住宅ビジネスフェア2020」(会期:2020年9月24〜25日、東京ビッグサイト)で、「コロナ禍の住まい探し変容とイマドキ20代研究レポート」と題した講演を行った。セッションでは、新型コロナウイルス感染症の拡大後における住宅市場の動向について解説した。
コロナの影響で低価格の戸建て住宅の売上がアップ
同社は、首都圏で新築戸建て住宅または新築分譲マンションを購入した一般消費者を対象に、2019年4〜8月とコロナ禍の2020年4〜8月に動向調査を行った。2020年4〜8月における新築戸建て住宅の平均購入価格は前年同期比440万円減の3687万円となり、5000万円を超える高額物件の契約率は前比9.7%マイナスの12.9%となった。
全体のうち、2000〜2500万円もしくは2500〜3000万円の新築戸建て住宅を購入した割合は、2019年4〜8月は16%だったが、2020年4〜8月は31%に上昇し、低価格の物件が売り上げを伸ばした。新築戸建て住宅の購入者のうち、自己資金比率が0%(頭金無し)の割合は、2020年4〜8月は前比11%プラスの32.1%となった。
また、物件の契約状態では、2020年4〜8月は、完成済みの新築戸建て住宅を購入する一般消費者が前比20.2%アップの80.2%となり、着工前の比率は前比23.5%ダウンの3.2%で、すぐ入居できる完工済み住宅のニーズが高まった。
池本氏は、「ロープライスの一軒家が好調な点や頭金無しの購入者が増えたことなどを踏まえて、2020年4〜8月に新築戸建て住宅を入手した消費者の多くは、テレワークで集中できる環境の構築を目指して、予定より前倒しで、物件の契約に踏み切った人だと考えている」と2020年に新築戸建て住宅を購入した消費者のイメージを述べた。
新築戸建て住宅購入者の物件契約前と後の住所を比較し、住宅購入による居住エリアの変化を調べ、「23区から23区」「23区から23区外」「23区外から23区」「23区外から23区外」に分類した。2020年5〜8月の23区から23区外への移動は全体の11.3%を占め、前比0.2%プラスの微増で、都市部から郊外部への引っ越しはコロナ禍に大きく増加していないことが明らかになった。
また、物件契約前後の通勤時間を確かめたところ、2020年4〜8月における通勤時間が増えた人の割合は、前比6.5%アップの50.6%で、減った人の割合は前比8.4%ダウンの20.1%となり、通勤時間は増加傾向だと判明した。
「23区から郊外への移動が微増なのに、通勤時間が増えた人が多いのは、以前より住んでいた賃貸住宅から離れていない新築戸建て住宅に引っ越した人が少なくないからだと想定している」(池本氏)。
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