YKK APが窓のBIMパーツをホームページで公開、リアルな形状と属性の情報を搭載:BIM
これまで顧客からBIMパーツ提供の依頼が来た時に対応していたYKK APは、取引先の建設会社などがタイムリーにBIMパーツを利用できる環境の構築を目的に、ビル用の窓シリーズ「EXIMA 31」とシステムウインドウシリーズ「SYSTEMA」のBIMパーツを開発し、ホームページで公開をスタートした。今回のBIMパーツは、一般的なBIMパーツでは表現できないリアルな形状情報と属性情報を保有している。
YKK APは、同社のホームページで、ビル用の窓シリーズ「EXIMA 31」とシステムウインドウシリーズ「SYSTEMA」をモデリングしたBIMパーツの公開を2020年12月24日に開始した。
各BIMパーツは、簡略、標準、詳細での表示に対応
国土交通省が発表したデータによれば、建設業界の就業者数は1997年を境に減少し、現在はピーク時と比較すると30%弱減少している。一方で、建設投資額は、1990年代中盤から減少が続いたものの、近年は増加傾向にある。このような中、建設業では、若者離れと従事者の高齢化による人手不足が問題となっており、働き方改革と生産性の向上が求められている。
上記のように働き手が足りていない状況を踏まえて、政府では近年、建築物の生産プロセスと維持管理における作業効率のアップを目的に、業界におけるBIMの普及を推進している。こういった取り組みを考慮して、YKK APは、EXIMA 31とSYSTEMAのBIMパーツを開発し、ホームページで公開することを決定した。
EXIMA 31とSYSTEMAのBIMパーツは、一般的なBIMパーツでは表現が難しいリアルな形状情報と属性情報を備えているため、設計者と施工者が図面を作る時間を減らすのに貢献する。具体的には、実際の部材を細かく再現しており、リアルなパース作成に使え、窓の納まりに関するバリエーションを豊富に用意しているため、多様な仕様の建物に利用でき、設計業務に役立つ。
また、建具表や仕様書作成に必要な属性情報を搭載していることから、対応するBIMソフト「Autodesk Revit(ver.2017)」の建具表作成機能と組み合わせることで、容易に建具表と仕様書が作れる他、各BIMパーツは、簡略、標準、詳細での表示に応じており、縮尺の設計図書に使用することはもちろん、詳細表現では、平面詳細図、部分詳細図、矩計(くけい)図などの縮尺が大きい図面にも使える。
今後、YKK APは、同社製品のBIMパーツ化を進め、ラインアップを拡充していく方針を示している。
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