デジタルサイネージ配信管理クラウドの新バージョンは空間演出や遠隔接客を実現:パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(2/2 ページ)
パナソニック システム ソリューションズ ジャパンは、プロジェクションマッピングのような空間演出やデジタルサイネージを用いて接客が行える配信管理クラウド「AcroSign Version 3.0」を開発した。
BrightSign製のコントローラーで操作可能に
AcroSign Version 3.0は、Webブラウザ上の管理画面からデジタルサイネージやプロジェクターで投映する映像の操作ができる。Webブラウザ上では、ドラック&ドロップで直感的にコンテンツのレイアウト作成や並べ替えが進められ、コンテンツの登録から配信・運用管理までが可能。
さらに、画面のレイアウト編集や配信スケジュールの登録、映像デバイスのリモート監視、電源のON/OFF制御に加え、設置したサイネージコントローラーの状況をMAP上に表示する。サイネージコントローラーの取り付けと交換時には、案件ごとにセッティングしたパラメータ情報などのバックアップを基に、サイネージコントローラーをWebブラウザ上からリモートで設定できる。
デジタルサイネージへの配信スケジュールとコンテンツの入力は、一部のデジタルサイネージにおける放映の予定やコンテンツの変更も含めて、1つのプレイリストで行える。映像コンテンツに、日本語や英語、中国語、韓国語をテキスト入力することで、多言語のテロップも映せる。
AcroSign Version 3.0のコントローラーには、これまでのAcroSignシリーズで採用されていた「EM JDSSC 5 EXA」「EM JDSSC 5 STA」「EM JDSSC 5 XFA」が使える他、米BrightSign製の「EM JDSSC 6 XTA」と「EM JDSS 6 HDA」の2機種が新たに使用可能。BrightSign製のコントローラーは、OSにMicrosoft Windowsを採用していた従来のコントローラーとは異なり、同期する複数の映像をプロジェクターで壁面に投映しても各映像の動きがずれにくい。
また、クロマキー合成が行える。クロマキー合成は、デジタルサイネージやプロジェクターで投影している映像に、あらかじめ作成した画像を重ねて表示するもの。例えば、建物内のカメラで取得した店舗の映像をデジタルサイネージに映すと同時に、店内のセンサーで得られたデータに基づき算出した混雑度に合わせて、事前に作成した画像を表示できる。また、デジタルサイネージに映した静止画広告とコンテンツの切り替わりで、つなぎ目に透過するアニメーションを追加し、視認性を向上させられる。
AcroSignのターゲットは、大型複合施設や空港、スタジアム、商業施設、学校、オフィスビルなど全ての施設。パナソニック システム ソリューションズ ジャパンでは、AcroSign Version 3.0とともに、対象の規模によって、種類や数量を変更し、デジタルサイネージなどの機器や関連するサービスを提案する。
今後の展開について、「AcroSign Version 3.0を含むデジタルサイネージ事業全体で年間売上100億円弱を目指す。また、2021年度中にAcroSign Version 3.0の機能をスリム化したコンパクト版も発売する」と明らかにした。
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