鉄道向けの曲がるLEDディスプレイ、成城学園前駅で実証
京三製作所は、駅構内ホーム上の柱などに曲げて貼れるLEDディスプレイを開発し、小田急電鉄で実証実験を行った。曲がるLEDディスプレイは、1ユニットを組み合わせることで、大型サイズの掲出も可能だという。
交通インフラ設備メーカーの京三製作所は、曲がるLEDディスプレイを開発し、2017年11月から小田急電鉄 成城学園駅前で実証試験を行った。2018年4月18日〜20日に幕張メッセで開催された「第3回 駅と空港の設備機器展2018」で、各種案内表示器とともに出展した。
曲がるLEDディスプレイ、最大660ユニットまで組み合わせ可能
曲がるLEDディスプレイは、ゴム製のLEDユニットを採用し、上下左右に曲げることができる。ユニット裏面にはマグネットが付いているため、鉄柱に貼り付けるだけで掲出が可能。1ユニットの重量は400gで、サイズは192×256mm。厚さは7mm。シートを何枚も組み合わせれば、最大ヨコ30×タテ22ユニット(合計う660ユニット)までの大型サイズにも対応する。
成城学園前駅の実験では、ヨコ3×タテ6ユニットの構成で55インチ相当のサイズで設置した。曲げの半径は520mm。取付工事は、壁面の「はつり」をせずに、画像発生装置は表示器上部に据え置いた。電源の配線は一時的な実験のため、露出配管とした。
屋外の交通用液晶ディスプレイを2018年度内に実用化
展示会では、ラインアップを拡充した駅構内の案内表示ディスプレイを出品。従来はインフラ用途ではコストやメンテ面で難しいとされていた屋外用液晶ディスプレイを2018年度内の製品化を目指し、開発していることが明かされた。
通常、液晶ディスプレイは直射日光が当たっている間の時間に大きく影響を受けるとされる。屋外での環境に適応するため、使用部品の削減と、筐体に放熱効果の高いアルミニウム合金を採用。これにより、液晶が熱により黒く変化する「黒化現象」の発生が抑えられるという。液晶面は強化ガラスで保護され、パワーセーブ機能も搭載。バックライトON/OFFの制御もあるため、使用状況に応じた省エネでの運用に応じる。
ラインアップは、片面表示のヨコ型が32/42型。タテ型は55型のみ。ホーム上での用途に適した両面型は46/55型の2タイプ。天井の低い場所での導入には、ハーフ37型(ヨコ901.7×タテ255mm)を用意している。
ハーフタイプは2画面表示で、到着電車の案内と、ニュースや天気予報などの各種情報を同時に表示。ホーム上にセンサーカメラを何台か設置すれば、電車の乗り込み位置で、どこが混んでいのるか、混雑状況を知らせることも可能だ。
開発の担当者は、「普通であれば、新製品には開発費が上乗せされることになるが、屋外用の片面表示タイプは、従来コストの約半分となる導入しやすい価格帯を設定する予定だ。これからの交通向けデジタルサイネージを考えると、時刻・行き先の表示だけなく、施工が簡単なタイプ、多言語での観光案内も表示できるものなど、将来的な交通インフラのニーズを予測した付加価値が必要になってくるだろう」と話した。
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