rFproが首都高環状線をデジタルツイン、1ミリ以内の精度で3Dモデル化:製品動向
rFproは、首都高環状線(C1ルート)を忠実に3D化した。道路の状態だけでなく、道路標識などの付属物も3Dモデルで再現し、通行量調査や自動運転技術に役立てられる。
英シミュレーションソフトメーカーrFproは2020年9月7日、首都高速都心環状線(C1ルート)を3次元モデル化したと発表した。
C1ルートは、35キロの道路区間で、rFproはrFproは3Dモデルを作成するにあたり、LiDARで同区間をスキャンしたデータを使用して、1ミリ以内の精度で路面を3Dモデル化し、道路内のハンプやドレインカバー、伸縮継手(つぎて)といった構造物をシミュレートした。
また、また、形状だけでなく、首都高の機能も確かめられるように、道路標識や標示といった路側の道路付属物をを現実と同じ場所に配置。rFproが保有する100カ所を超える他の公道ルートや試験場、テストトラックのデータもC1ルートの3D化に活用している。
3Dモデルに、車両の種類、速度、色、交通量など、スクリプト化されたさまざまなトラフィックを追加することで、ほぼ無数のテストシナリオを作れる。rFproシステムを用いることで、多数のユーザーが同時にデジタルツインの3Dモデル上で車を運転できる。
rFproマネージングディレクター Matt Daley氏は、「C1ルートは、自動運転車をAIでナビゲートすることが、世界で最も困難な道の1つだ。道路の曲率と標高が絶えず変化し、複雑で密集した交差点と膨大な数の道路標識や標示があるため、自動運転技術を導入することが難しい。今回のデジタルツインを用いることで、C1ルートにおいて自動運転技術の性能を確かめ、問題点などが明らかにして、開発を迅速に進められるようになる」と解説した。
加えて、「C1ルートのデジタルツインは、非常に用途が広く、多様なシミュレーションに使える。例えば、複雑なトラフィックのシナリオを作成して、クロールする時に、車の自動ギアボックスとエンジンマッピングがどの程度適切に動作するかをテストできる」と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
鹿島らが複数のグラウンドアンカーの張力を1台の計測器で測れるシステムを開発
鹿島建設は、沖電気工業と共同で、広範囲に配置した複数のグラウンドアンカーで発生した張力を1台の計測機で調べられるシステムを開発した。新システムは、グラウンドアンカーのストランドに組み込んだ光ファイバーのひずみ分布を計測することで、地山内部の変状や経年劣化などに起因するグラウンドアンカーの張力分布で生じた変動を常時把握する。熊谷組が東北自動車道の床版取替工事に「コッター床版工法」を導入
熊谷組は、コッター式継手を利用してプレキャスト床版を接合する「コッター床版工法」の実工事への導入を進めている。このほど、東北自動車道の床版取替工事に床版工法を採用したことを発表した。今後、コッター床版工法を高速道路のリニューアルプロジェクトを中心に適用しつつ、工法の改良を推進していく。路面異状の記録を効率化する新システムや監視カメラ画像のAI解析による交通量算出
国土交通省は、高速道路の更新計画や維持管理方法などを議論する場として、社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会を定期的に開催している。2020年8月21日に開いた第41回の部会では、国土交通省の担当者がITを活用した路面管理の手法を紹介し、また宮城県知事の村井嘉浩氏が、新型コロナウイルスが県内の交通量に与えた影響などに触れ、料金所での接触を減らすETC設備の増設や観光業を支援する道路ネットワークの強化を国に求めた。高所作業車3台の機能を1台にまとめた「E-マルチ点検車」
西日本高速道路エンジニアリング中国は、高所作業車3台分の作業台を1台に集約した「E-マルチ点検車」や既設パイプカルバート内部の状況を調べられるロボット「Ex-Mole」を開発した。国内の展示会などで、両製品が点検の省人化や安全性の向上に役立つことをアピールしている。