信州ウッドパワー建設の木質バイオマス発電所が稼働、年間売上高は5.4億円:産業動向
信州ウッドパワーが長野県東御市の羽毛山工業団地で建設した木質バイオマス発電所がこのほど稼働をスタートした。同発電所の年間発電量は約1350万キロワットで、売上高は5億4000万円になる見込みだ。
清水建設とトヨタ ユー・グループの合弁事業会社である信州ウッドパワーが長野県東御市の羽毛山工業団地で建設した木質バイオマス発電所が2020年7月15日に稼働を開始し、2020年〜2040年にわたるFIT売電事業をスタートした。
年間発電量は約1350万kw
同発電所は、信州ウッドパワーが東御市から購入した羽毛山工業団地内の敷地に約30億円を投じて建設したもので、同社子会社の信州ウッドチップが地域の森林から調達する原木を原材料とする切削チップを燃料に出力1990キロワットの発電装置を稼働させ、中部電力に売電する。同発電所の集材圏は森林資源が豊富で、発電所をフル稼働可能なため、年間発電量は約1350万kwh(キロワットアワー)に達し、売上高は5億4000万円になる見込みだ。
燃料となる原木の年間使用量は年間約3万トンで、信州ウッドチップに原木を提供する地元の森林施業者や森林組合、山林所有者などからの年間原木買い入れ額は1億5千万円余りに達すると予想されている。間伐材などの未利用材に加えマツクイムシ被害材をチップ化し燃焼でき、現地で問題化している膨大なマツクイムシ被害材の処理や森林の保全育成に貢献できる見通しだ。さらに、発電所運用とチップ製造のために12人の新規雇用を創出する。
一方、地域密着型バイオマス発電の普及や林業のICT化を促す先進的な取り組みも展開している。例えば、発電プラントの運用を遠隔地から支援するプラント運用支援システムや燃料となる原木の調達ルートを的確に認証できるGPSトレーサビリティーシステムを導入している。前者は三菱日立パワーシステムズインダストリーが開発し、後者はJEMSと清水建設が共同開発したもの。また、労働負荷が大きかったプラントへの燃料チップ投入作業も自動化している。
今後、清水建設は、木質バイオマス発電の適地調査を継続的に行うとともに、長野県東御市で展開する2メガワットクラスの発電所をフルパッケージ化し、次の発電事業の立ち上げに生かすことを目標に掲げている。
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