大分県で地熱発電実証プラントと水素製造実証プラントを建設、大林組:プロジェクト
大林組は、大分県玖珠郡九重町で、大分地熱開発の協力を得て、地熱発電実証プラントの建設に着手する。今回のプロジェクトでは、地熱発電実証プラントを建設するとともに、地熱発電の電力を活用する水素製造実証プラントを敷地内に併設し、地熱発電電力を利用して得られるCO2フリー水素をさまざまな需要先へ供給するまでのプロセスを実証する。
大林組は、地熱発電の開発とCO2フリー水素の活用を促進することを目的に、大分県玖珠郡九重町で、大分地熱開発の協力を得て、地熱発電実証プラントと水素製造実証プラントの建設に着手することを2020年7月9日に発表した。
水素製造実証プラントに大林組が開発したEMSを搭載
両施設の竣工後、地熱発電実証プラントで地熱発電した電力により、水素製造実証プラントで製造した水素を工場などへ陸送するスキームを実証する。大林組はこれまでにも、地熱発電が盛んなニュージーランドで、地熱発電電力によるCO2フリー水素のサプライチェーン構築を目指した社会実装研究に取り組んでいる。
今回の実証では、ニュージーランドでの知見も生かし、国内で地熱発電に適した候補地の選定から調査、発電所の建設、発電電力による水素の製造と供給に至るまでの事業化プロセスを検討する。
具体的には、沸点の低い媒体を加熱・蒸発させた蒸気でタービンを回すバイナリー発電機を利用した地熱発電実証プラントの設計や建設、性能検証を行う。さらに、地熱発電電力を用いる水素製造実証プラントには、大林組が開発した複数の運転モードを備えたプラント向けエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、水素製造を最適に行うための検証を進める。
水素製造実証プラントに搭載されるEMSの運転モードは、水素製造装置の負荷率と稼働率ともに100%にする「水素最大製造モード」や水素製造装置と周辺機器の効率が最大となる「水素製造単価最安モード」、水素製造に必要な電力のうち地熱発電電力の割合を増やす「グリーン電力優先モード」の3種類。
EMSには、水素搬送車両に装着したGPS端末から搬送状況を把握し、車両の発着スケジュールに合わせてプラントを起動停止させることなく効率よく連続運転できるよう制御する機能を備える。地熱発電と水素製造実証プラントの稼働開始は2021年7月を予定している。
大林組は、実証プラントで製造したCO2フリー水素を地元の工場に搬送して燃料電池フォークリフトの燃料として提供するなど、地域のエネルギー資源として有効に活用する見通しだ。また、研究パートナーを広く募り、実証で生み出される地熱発電の電力やCO2フリー水素のさまざまな活用方法も検討する。
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