ニューノーマルに対応したスマートビル実現のプラットフォーム「BuilMirai」、日立×MS:スマートビル
日立製作所は、Microsoft AzureやMicrosoft Dynamics 365を活用し、今までにない効率的なビル設備の運用管理やビル内の快適な生活を実現する次世代のビル向けIoTプラットフォーム「BuilMirai」を開発した。
日立製作所は2020年中に、ビル管理の効率化や利用者の快適性向上など、ニューノーマルで求められるビルの高付加価値化を実現するビル向けIoTプラットフォーム「BuilMirai(ビルミライ)」の販売を予定している。
複数の大規模ビルを統合的に遠隔で管理
BuilMiraiは、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」や「Microsoft Dynamics 365」を活用して開発した「Lumada」のビル分野向け新ソリューション。昇降機や空調設備などビル設備の稼働状況を遠隔かつ統合的に監視して、分析できるデベロッパー向けのソリューションで、主に大規模ビルを対象に、複数ビルを横断的にモニタリングする。ビル設備のデータに加え、ビル内のエリアごとの混雑度など、人流データを組み合わせて解析することが可能で、ビル管理の効率化や利用者の快適性アップ、ビル運営に関する品質向上も実現する。
近年、都心部では、大規模オフィスビルの供給が続いているため、テナント企業の獲得競争が激化している。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、働き方改革も社会全体で進展してきている。ビルを取り巻くこうした環境の変化に伴って、デジタル技術の活用で、ビル内業務の効率化・高度化やオフィスワーカーなどビル利用者の快適性向上、ビルの高付加価値化などが求められるようになり、スマートビル実現に向けた動きが加速している。
市場の変化を受け、日立製作所では日立ビルシステムとともに2020年4月に、建物内の非接触での移動・生活を実現するタッチレスソリューションを体系化し、順次ラインアップを強化。同時に、就業者にスマートフォンアプリで、新たな就業・生活体験を提供するサービスプラットフォームを開発するなど、ニューノーマルの働き方に対応したビル分野のデジタルソリューションを展開している。
また、日立製作所とマイクロソフトは2020年6月、製造・ロジスティクス分野向け次世代デジタルソリューション事業に関する戦略的提携に合意しており、さらに、日立が2020年11月4日に開始したパートナー制度「Lumadaアライアンスプログラム」にマイクロソフトが賛同するなど、さまざまな産業分野での連携を図っている。
今回、両社の提携を基に日立はビル分野で、Microsoft AzureやMicrosoft Dynamics 365などを用いて、Lumadaの新ソリューションとして、ビル向けのIoTプラットフォーム「BuilMirai」を開発した。
BuilMiraiは、複数ビルのさまざまなビル設備を遠隔で統合的に監視し、ビルの利用状況を可視化する。ビル同士やフロア間の比較などで、利用状況を加味した効率的な清掃・警備作業やビル設備の状態を考慮した保守計画の策定が可能になる。複数のビル運営では、ビルごとのアラート発生状況、エネルギー使用量などをベンチマークして、課題の抽出や改善策を提案することで、運営品質の向上につなげる。
また、エリアごとの混雑度などの人流データを基に、昇降機や空調設備などのビル設備の制御システムと連携することで、混雑の緩和や混雑状況に応じた温度設定などを行い、快適なビル環境を維持する。トイレやミーティングスペースについても、利用状況や混雑情報を提供することで、ビル利用者の効率的な設備利用だけでなく、感染予防となるソーシャルディスタンスも保てる。
さらにBuilMiraiは、オープンなAPIを搭載しているため、パートナー企業が提供する新たなサービスなどの追加が容易で、サービスメニューを拡充していくことも見込まれている。
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