ゼネコン7社が減収減益で増益は「鹿島」と「フジタ」のみ、2021年3月期第2四半期決算:産業動向(2/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は、2021年3月期第2四半期決算のまとめと今後の市場予測を公表した。レポートでは、土木工事業と電気設備工事業が比較的好調な一方で、総合工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅・不動産業では厳しい決算結果になったと分析している。
管工事は8社が減収、6社が減収減益、10社合計でも落ち込み幅が拡大
管工事業の売上高は、8社が前年同四半期を下回り、6社が減収減益(図表4)。10社合計では、売上高は前年同四半期比16.2%減(第1四半期は13.4%減)、純利益が同35.6%減(第1四半期は33.7%減)となっており、第2四半期に入って売上、利益ともに落ち込み幅が大きくなっており、厳しい決算となった。
2021年3月期の通期業績予想は、ダイダンが純利益を上方修正、日比谷総合設備が売上と純利益を上方修正している。
プラントは7社が減収、5社が減収減益、10社合計では第1四半期よりやや改善
プラント・エンジニアリング業の売上高は、7社が前年同四半期を下回り、うち5社が減収減益となった(図表5)。10社合計の売上高は、前年同四半期比3.8%減(第1四半期は8.9%減)、純利益は同17.3%減(第1四半期は21.6%減)となっており、厳しいながらも売上高、純利益ともに第1四半期よりもやや改善されたが依然として厳しい決算となっている。
2021年3月期の通期業績予想は、栗田工業が売上と純利益を上方修正、レイズネクストとメタウォーターが純利益を上方修正している。
住宅・不動産は6社が減収減益、10社計で第1四半期よりも悪化
住宅・不動産業の売上高は、8社が前年同四半期を下回り、うち6社が減収減益となった(図表6)。10社合計の売上高は前年同四半期比6.5%減(第1四半期は5.2%減)、純利益は同26.5%減(第1四半期は18.3%減)となり、第1四半期よりも売上高、純利益ともに悪化している。
ヒューマンタッチ総研所長の高本和幸氏は、「2021年3月期第2四半期決算については、第1四半期に続いて土木工事業と電気設備工事業が比較的好調であり、総合工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅・不動産業では厳しい決算結果が続いている。背景には、国土強靭化計画などの公共事業を中心に土木投資は堅調ですが、東京オリンピック・パラリンピック関連需要が終息して、民間建設需要が端境期を迎えていることがあると考えられる。国土交通省から発表されている令和2年度(2020年度)建設投資見通しを見ると、2020年度は民間の建築投資が8.1%減と大幅に落ち込み、民間の土木投資も2.6%減と前年度割れしているが、政府土木投資は3.1%増、政府建築投資は3.0%増となっており、民間投資の落ち込みを公共事業が中心となった政府投資が底支えする構造になっている」と分析。
今後については、「新型コロナウイルス感染症拡大が終息する見通しが立たない現状を考慮すると、民間建設需要の回復の足取りは重くなりそうであり、総合工事業や管工事業の経営環境は厳しい状況が続くことが予想される。また、国や地方自治体の財政状況も更に逼迫(ひっぱく)してくる危険性もあり、土木関連の業界についても予断を許さない状況で、国土交通省の2021年度予算の動向も注視していくことが必要だ」とコメントしている。
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