従業員4人以下の企業が約7割、「経済センサス調査」に見る建設業の特徴分析:建設業の人材動向レポート(27)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、国の基幹調査「経済センサス調査」を基に、他の産業と比較しつつ建設業の特徴を分析している。
■建設業では、就業者規模100人未満の企業で約6割の付加価値額が産出
従業者規模別に産出される付加価値額の割合を見ると、従業者数規模100人以上の企業で算出される付加価値額の割合が建設業では39.6%だが、製造業は75.4%、情報通信業では84.3%、全産業平均で67.3%となっており、建設業では従業者規模100人以上の企業で産出される付加価値額の割合が非常に低くなっており、就業者規模100人未満の企業で約6割の付加価値額が産出されている(図表5)。
■まとめ
ここまでのデータから、建設業では従業者規模20人未満の小規模企業で働く人の割合が56.4%と際立って高いこと、また、産出される付加価値額についても、従業者規模100人未満の企業で約6割が産出されていることが判明した。ここから考えると、建設業全体の働き方改革の実現を目指すためには、ゼネコンなどの大手企業だけではなく小規模な企業でも、働き方改革の実現を図ることが必須であり、また、生産性向上の実現でも、小規模企業における生産性向上の重要性が非常に高いことが指摘できるだろう。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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