五洋建設の知識要らずBIM施工管理システム、「鉄骨工事版」をホテル2物件に適用:BIM
五洋建設は、BIMモデルを用いた鉄骨工事の統合施工管理システムを開発し、広島県と愛媛県のホテル建築工事2物件に適用した。BIMシステムは、専門知識が不要で、タブレット上で簡便な操作性により、鉄骨製作図の作図から承認、製作までの進捗を統括管理し、工事関係者間で共有することができる。
五洋建設は、BIMモデルを活用して建築工事を統括管理する「五洋建設統合施工管理システム(PiCOMS(ピーコムス):Penta-Ocean Integrated Construction Management System)」の開発と現場展開を推進しており、2020年8月に、鉄骨工事版「PiCOMS−S」を実用化したことを公表した。
工事関係者の管理業務を20%削減
2019年に、初弾として開発したプレキャスト工事版PiCOMS−PCaは、現場での運用によって、効果を確認している。新改良したPiCOMS−Sは、広島県広島市の「(仮称)広島市中区富士見町地区フルサービスホテル建設工事」と、愛媛県松山市の「伊予鉄西ビルビジネスホテル建築工事」の2現場で運用を開始した。
従来の鉄骨工事では、鉄骨製作図の作図や承認、鉄骨部材の製作状況を担当者のみが把握していることが多く、各工程の進捗管理も担当者に依存しているのが実情だった。そこで製作図や鉄骨製作の進捗を部材単位でBIMモデルに表現して、進捗状況を見える化することで解決。BIMモデルを工事関係者が共有することで、指示や報告の管理業務が20%ほど削減され、効果的・効率的な工事管理が可能となり、生産性の向上が見込める。予定より進捗が遅延している場合は、その部材がハイライトされ注意喚起を促すことが可能になる。
システムは、プレキャスト工事版と同様に、BIMに関する習熟度や専用の機器は要らず、職員や協力会社がタブレットなどから、BIMの3次元モデルを選択して進捗状況を入力することができまる。
五洋建設は、運用した2現場では、鉄骨建方や外壁取付工事の進捗管理にも導入していくとしている。
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