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五洋建設が超高層建物のプレキャスト工事の進捗を“見える化”するシステム開発:現場管理
五洋建設はBIMモデルを活用して建築工事を統括管理する「五洋建設統合施工管理システム(PiCOMS)」の開発と現場展開を推進している。このほど、PiCOMSの1つとしてプレキャスト工事を円滑に進められるシステムを開発した。
五洋建設は2019年12月16日、BIMツール「プレキャスト工事統合施工管理システム(PiCOMS-PCa)」を開発したことを発表した。
BIMツールのノウハウや専用機器は不要
プレキャスト工事統合施工管理システムは、超高層建物でのプレキャスト工事の進捗状況を可視化し、プレキャストの製造や取り付け情報を工事関係者間でリアルタイムに共有できる。管理業務量を従来の約半分程度に減らし、業務効率を改善可能だという。
また、BIMツールのノウハウや専用機器は不要で、職員や作業員がタブレットなどからBIMモデルの部材を選択し、取り付け計画や実績を入力するといった操作を簡単に行える。さらに、インプットされた情報の閲覧は、スマートフォンで専用のQRコードを読み取ることで進められる。
同様のシステムはこれまでも各社で検討されてきたが、BIMツールの知見や専用の機器を必要とし、建設現場や製作工場の関係者全員で活用することが難しかった。
このシステムは2019年9月から、「武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事」で運用を開始している。新設する複合ビルの規模は、延べ床面積が5万3676.48平方メートル、RC造、地下2階、地上41階建て。所在地は東急目黒線「武蔵小山」駅にほど近い、東京都品川区小山三丁目地内。竣工は2021年6月を予定している。
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