地場ゼネコン22社が集結、建設DXやAIの実践事例を共有:産業動向(2/2 ページ)
全国47都道府県から約120社の地場ゼネコンが参画する建設DXコミュニティー「ON-SITE X」では、地域を越えて技術者や経営者がつながり、DXやAI活用の実践事例を共有している。2026年6月、静岡県三島市で「ON-SITE X 大交流会 2026」を開催し、全国22社65人が参加した。
BIM活用率96% 利用のハードルを下げる仕組みづくり
建設部門では、長野県飯田市の吉川建設と沖縄県那覇市の金秀建設が取り組みを発表した。
吉川建設は1914年創業、従業員数は205人。S造をメインに扱う設計部は12人体制で、設計者が企画設計から監理業務まで一貫して担当する案件が多い。2021年頃からBIM活用を本格化し、現在は全設計案件の96%でBIMを活用している。BIM利用のハードルを下げるため、多数のテンプレートやBIM実行計画書を整備して設計手法を標準化。外部の設計者へもスムーズに業務を外注できる体制を整えた。さらに、BIMデータを活用した確認申請の効率化や図面審査へも挑戦している。
全社では汎用生成AIの他、議事録生成AI、PDF編集AIアシスタントを展開。その他、DX推進部を中心に各部署でプログラミング/開発や業務自動化など多様なAIを用途に応じて使い分けている。山内氏は「経営層からも『やらないリスク』を常に言われている。DX推進部としては、少人数でまず試し、ダメなら撤退、良ければ全社展開するというスピード感を大切にしている」と語った。
金秀建設は1947年創業、社員数は135人。電話やメール中心だった業務環境から、Google Workspaceを軸とした情報共有基盤の整備を進め、社内データの集約や業務の効率化を推進してきた。
DX推進を開始した当初は専任担当者1人だけだったが、各部署から選抜した「10Xリーダー」を育成し、各リーダーを起点に現場や部署内へ波及させる体制を構築。また、Googleサイトで社内ポータルサイトを開設して勤怠や連絡先、各種規定、現場稼働マップなどを集約。現場ごとのホームページも整備し、QRコードで協力会社と工程表や新規入場者資料などを共有する仕組みを整えた。建築工事部では1人当たりの月平均残業時間を20時間から14.2時間へ削減する成果を挙げた。
BIMとAIの連携にも着手し、カスタムオブジェクトや自作アドオンの作成、プレゼンテーション用のパース/動画生成、BIMモデリングの自動化などを進めている。
AIエージェントが建設会社の働き方を変える
AI部門は宮崎県の丸宮建設と千葉県成田市の平山建設が登壇した。
丸宮建設は1950年創業、従業員数は74人。2024年まで紙とハンコによる稟議、タイムカードによる勤怠管理やFAXによるやりとり、大量の属人化したExcel管理など従来型の業務が残っていたが、Google Workspaceを基盤に仕組みを刷新した。DXと同時に週休2日制への移行や建設ディレクター部門設立などの制度改革、採用の強化にも取り組み、社員数は2024年1月から2026年6月までに25人増加した。
丸宮建設では現在、AIエージェントの活用を推進している。取締役副社長 河野一歩氏は、「チャット型AIと異なり、AIエージェントはプロセスの実行まで担える。目的を与えると自ら調査、判断、操作まで行う。優秀なフルスタックエンジニアが常に働いているような状態をつくれる」と紹介した。
工事登録や発注申請、日報といったGoogle Workspace上で稼働する業務アプリの構築や運用はAIエージェントに一任。取引先マスターや工事マスターを起点に伝票DBや会計処理までデータを一元管理する仕組みを構築している。さらにAIとの対話から中期経営計画を立案する他、AIエージェントを活用し、会議資料や議事録の作成、業界ニュースの自動要約配信、補助金申請など各種書類の作成支援も進めている。
平山建設は1901年創業、グループ従業員数は110人。働き方改革の推進を目的に、2013年にGoogle Workspaceを導入し、2018年には稟議の電子化、2022年からはGoogle Apps Script(GAS)を用いた勤怠管理の自動化、2025年にはGemini APIの活用を開始した。
業務改革の結果、約100人分の残業代算出に要する作業時間を3人日から30分に短縮したほか、稟議決裁にかかる期間も約1週間から最短1時間以内へ短縮した。工事部門の月間残業時間は40時間超から27時間に減少し、全社平均では17時間となった。残業を削減すると同時に、平均年収も上がった。
平山建設はAIやDXの取り組みについて、省力化やコスト削減だけではなく、労働環境の改善や処遇向上につなげる経営改革と位置付けている。14階建て賃貸マンションの建設現場では、現場所長が早朝に出勤して夕方に退社する働き方を実践したことで、他の社員も帰りやすくなり、残業を減らしながら現場を回した事例を披露した。
現在は、7人のメンバーで構成する「平山建設 Claude Team侍7人」を中心に、生成AIによる業務高度化を進めている。勤怠管理アプリを刷新し、作業時間を15分から2分に短縮した事例や、過去の賃貸マンションのデータ分析を基にコストを推計するアプリを開発した事例などを紹介した。
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