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インタビュー

「北野建設」社長に聞くー企業風土も含む、IT改革に踏み切った地方建設業のDX戦略【全文公開】地場の建設会社が手本にしたい建設DX(1/3 ページ)

IT導入は、多くの地方建設会社が必要性を認識つつも戸惑い、仮に採用しても使いこなせず放置してしまうケースをよく耳にする。しかし、長野で創業した地域密着型の地場ゼネコンは、IT全社導入を敢行し、建設業のデジタル変革へ踏み出すことに成功したという。

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 BIM/CIMによる建設生産プロセス変革を筆頭に、ICT施工や遠隔臨場、施工管理アプリなど、大手ゼネコンを中心に建設DXの実現に向けた歩みは着実に前進しつつある。

 しかし、大手以外の中小に目を向けると、業務のデジタル化が必ずしも進んでいるとはいえない。その要因の大半は、予算やデジタル人材にあり、既存の業務プロセスを変える余裕がなく、必要性も理解していない企業が多いためだ。

 そうしたなか、地場ゼネコンで先陣を切ってDXに力強く推し進める企業がある。1946年に長野県長野市で会社を興した北野建設だ。

 なぜ、失敗が多いとされる建設業のIT化が、北野建設では可能だったのか。経営者としてのイニシアチブを発揮し、建設DXを着実に前進させている北野建設 代表取締役社長 北野貴裕氏に、地方建設会社の手本にもなるDXへの挑戦と、そこにかける思いをインタビューした。

北野建設 取締役社長 北野貴裕氏
北野建設 代表取締役社長 北野貴裕氏 撮影:石原忍

建設業界を魅力的な場にするために建設DX着手

 北野建設は、一部北陸を含む長野県域と首都圏を中心に、地域密着型の案件を多く受注し、代表的な施工実績としては「八ヶ岳高原音楽堂」「善光寺(保存修理)」「長野市第一庁舎」などがある。多くの地方総合建設会社とは異なり、請け負う業務の約9割が民間の建築工事で、ナショナルブランド企業の工場や倉庫、ホテル、病院、個人住宅を手掛け、企業理念でも重視している施工品質が評価され、近年の業績は右肩上がりの成長を遂げている。

北野建設が施工した会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」建設地:長野県軽井沢町、発注者:東急不動産、設計:東急設計コンサルタント、施工:北野建設、用途:会員制ホテル、竣工:2018年
北野建設が施工した会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」建設地:長野県軽井沢町、発注者:東急不動産、設計:東急設計コンサルタント、施工:北野建設、用途:会員制ホテル、竣工:2018年 撮影:エスエス 堀越圭晋

 2020年には、DX推進プロジェクトを立ち上げ、デジタル変革に一歩踏み出した。2022年2月には日立ソリューションズをパートナーに迎え、同年4月には「DX戦略推進本部」を新設し、本格化させている。

 北野氏は建設業界のDXについて、「長年、建設業界は人手不足に悩んでおり、その要因は3Kといわれる労働条件の厳しさもあるが、そもそも建築を学ぶ学生が減っていることにある。建設業界のローテクのイメージを払拭(ふっしょく)し、若い世代が働きたいと思える魅力的かつワクワクする場に変えていかねばならない。そのためにはDXは避けては通れない」と真摯(しんし)に向き合う重要性を説く。

 特に元請となるゼネコンが中心となり、DXの旗振り役となることが大事とし、「川上の情報がある元請には、現場の進捗状況から必要な職人の人数まで、現場で必要となる多様な情報が最初に集まる。それらを専門業者と共有することで、ステークホルダー全体の業務効率化につなげられる」と説明する。

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