イスラエル発の道路補修材、道路補修の渋滞損失を防ぎコスト92%減:スマートメンテナンス
Komobility Japanは、道路舗装の劣化を抑える予防保全材「KomoRoad」や道路補修材「KomoFix」と、既存の道路補修工法を比較した20年間のライフサイクルコストを分析した。その結果、予防保全が補修の発生そのものを抑え、従来工法比でコスト92%削減、CO2排出量を約97%削減する試算となった。
Komobility Japanは2026年6月26日、日本国内の公的データや市場価格を基に、道路舗装の劣化を抑える同社の予防保全材「KomoRoad」や道路補修材「KomoFix」と、既存の道路補修工法を比較した20年間のLCC(ライフサイクルコスト)分析結果を発表した。
「KomoRoad」と「KomoFix」は「直す」ではなく「壊さない」
Komobility Japanによると、ポットホール(路面の陥没穴)1平方メートルを従来工法で補修する場合の総コストは約385万円に上る。このうち材料費や労務費、交通管理費は約7万4000円で、残る約378万円は工事中の交通規制や渋滞による利用者の経済損失(ユーザーディレイコスト)が占める。
国土交通省の試算によれば、日本全国の渋滞による経済損失は年間約12兆円、約38.1億人時間となり、道路工事に伴う交通規制はその主要因1つとなっている。補修そのものより、補修中の渋滞による損失の方がはるかに上回るのが、日本の道路維持管理の実態だ。
一方、KomoFixを用いた補修では総コストは約10万8000円と試算。施工時間は15〜20分で、遅延コストを含めても従来工法の約36分の1に抑えられる。20年間にわたり同一箇所を補修した場合、従来工法では13.3回の補修が必要となり、総コストは約5138万円になる。KomoFixは4回の補修で済み、約43万円に収まる。
KomoRoadの特徴は補修コストの削減ではなく、補修そのものの発生を未然に防ぐ予防保全にある。路面の紫外線劣化や水の浸入を防ぐことで、ひび割れやポットホールの発生を抑制する。
100平方メートルの路面に対する表面処理では、従来のホットアスファルト舗設で約3146万円に対し、KomoRoadによる予防保全では約598万円で、約81%のコスト削減につながる。
KomoFixは98%のRAP(回収アスファルト)を使用し、加熱せず常温で施工できる。また、KomoRoadは廃材骨材フィラーを70%含有している。施工回数の削減や常温施工により、20年間でCO2排出量を96.8%削減できる。
なお、直接費のみで比較した場合のコスト削減率(81〜88%削減)は、国土交通省や米国連邦道路局(FHWA)と米国立公園局(NPS)の研究など、予防保全による転換で将来コストを回避できる値の範囲内に収まっている。また、ミシガン州DOTが示す「修繕コストは予防保全の約14倍」という試算(約92.9%相当)とほぼ一致するという。
KomoRoadとKomoFixは、イスラエルのHalikが開発した特許技術を用いており、50カ国以上で導入されている。ロサンゼルス国際空港の滑走路や誘導路をはじめ、高速道路や都市道路など数百万平方メートルの施工実績がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“小規模橋梁”の維持補修でコスト15%減と工期半減の「AOS工法」、タカミヤが本格展開
構造物のコンクリート片剥落を防ぐ2工法をNETISに登録、アイカ工業
アイカ工業は、展開する道路構造物向けコンクリート片剥落防止工法「ダイナミックレジン クリアタフレジンクイック工法」と「ダイナミックレジン クリアタフレジンクイック1500」がNETISに登録されたことを公表した。両工法は、透明度が高く施工後も目視でコンクリート下地の経過観察が可能な点と、最短1日で全工程が完了する優れた施工性に新規性があると認められ、登録に至った。
橋梁の維持管理に生成AI活用、点検データから診断結果案 NTTコムウェア/長崎大学など
NTTコムウェアや長崎大学などは、長崎県内の13の橋梁を対象に、生成AIを活用した橋梁維持管理の診断業務高度化に向けた実証実験を行った。点検データから橋梁の健全性や所見などの診断結果案を生成AIで作成し、その有用性を確認した。
3Dインフラ点検システム「Markly」が国交省のカタログ掲載、補修設計コストを7割削減
DataLabsの3Dインフラ点検システム「Markly」が、国土交通省「点検支援技術性能カタログ」に掲載された。スマートフォンなどで取得した3Dデータや写真を基に、図面や計算書を自動生成する。
RC断面修復工事の錆とモルタルを除去する騒音低減の技術を開発、日大や飛島建設など
日本大学、飛島建設、光響、PCLは、鉄筋コンクリート構造物の断面修復工事で錆とモルタルを除去する「LSRシステム」を開発し、鉄道高架橋補修工事に実装した。従来工法と比べて騒音を26%、粉じんを53%低減する。
鹿島建設らがUHPFRCによる道路橋床版のリニューアル工法を開発、橋梁下部工の補強が不要
鹿島建設と中日本高速道路は、鋼繊維を多量に混入した「超高性能繊維補強セメント系の複合材料」を現場で製造・打設して、床版の補強と補修を行い、薄層でありながら、高耐久な床版を構築する工法を開発した。使用するUHPFRCは高強度であるため、新工法は、コンクリート床版・鋼床版のどちらのリニューアルにおいても、床版増厚の量を最小限に抑えられる。そのため、道路橋床版自体の重量を減らすことができ、橋梁下部工の補強が不要となる。
関東地整管内の橋梁の約32%は高度成長期に竣工、20年後には67%が老朽化に
国土交通省 関東地方整備局は、展開する道路や橋梁といったインフラのメンテナンスサイクルや点検に関する取り組みの認知拡大を推し進めている。
縁切り壁の構築にかかる時間と費用を20%削減可能な新工法、戸田建設
戸田建設は、これまでの工法と比較して、縁切り壁の構築にかかる時間と費用を20%削減できる「スリムウォール工法」を開発した。今後、実現場の盛土工事に適用するとともに、さらなるコストカットを目指し、打設方法と鋼板接続方法の改良を進める。
埼玉県とNTT東ら、下水道管路の維持管理で「工程一体化DXモデル」構築へ
NTT東日本、埼玉県、埼玉県下水道公社など8者は、下水道管路維持管理の「工程一体化DXモデル」の構築に向けた共同研究協定を締結した。点検/調査/解析/補修/情報管理を一気通貫でつなぐことで、異常の早期発見と予防保全を目指す。


