日建設計が語る「グラングリーン大阪」に息づく、大阪らしい街づくりと名建築の系譜:プロジェクト(2/2 ページ)
2024年に一部がオープンした大阪府大阪市北区の「グラングリーン大阪」は、大阪駅近くの市街地に広大な公園空間を設けた先進的な街づくりとして注目を集めている。事業を先導した日建設計は、グラングリーン大阪の事業と御堂筋の歴史をひも解くトークセッションを開催し、プロジェクトの裏話や歴代の名建築から受け継がれる「大阪らしさ」について議論を交わした。
中之島の再開発から始まった日建設計の歴史
続いて、グラングリーン大阪に通じる御堂筋エリアと周辺の中之島の開発に関し、「御堂筋について〜設計者の意地の張り合いが建築を紡いでいく〜」と題し、大谷弘明氏が講演した。
江戸時代までの御堂筋周辺エリアは細い通りが何本も続き、現代とは異なる趣だった。昭和に入ると都市開発が活発化し、大規模な道路拡幅工事によって現代の姿に急速に近づいていった。
特に淀屋橋周辺の中之島エリアはそうした動きと連動し、大阪の顔として大規模な建築プロジェクトが盛んとなった。トークでは、1935年に完成したアールデコの意匠がほどこされた淀屋橋、辰野金吾が設計した日本銀行大阪支店をはじめ、さまざまな建築物を紹介した。
そもそも日建設計の歴史は、中之島エリアの開発とともに始まっている。「住友本店」の建設のために、1900年に発足した住友本店臨時建築部が、その起源となっているからだ。自社の大先輩に当たる人々の仕事に関し、勝山氏は「外観の石の積み方や窓の深さには見上げたときに素敵な意匠が施されており、当時としては最新式の窓にシャッターを備える素晴らしい仕事をしている。建築を生業とする者にとって、まさにメルクマーク(目標)だ」と評価した。住友本店の完成は1926年で、「昭和初期は大阪の地に素晴らしい建物が目白押しに完成した時代だ」とも言及した。
現代の中之島から御堂筋に入ると、通行人を迎えるように東に「淀屋橋ステーションワン」と、西側に日建設計が担当した「淀屋橋ゲートタワー」がそびえる。淀屋橋ステーションワンは高さ約150メートルの超高層ビルでありながら、周辺との調和を意識し、水磨き仕上げの花こう岩」を用いている。
対して、日建設計が担当した淀屋橋ゲートタワーも、外装には花こう岩を用いて建物の表情を豊かにするなど、街全体になじむ工夫を凝らしている。設計に携わった勝山氏はこうした設計者の気持ちを「設計者は周辺の建物とともに、仕事への意欲を燃やす。それが街並みにも表れてくる」と代弁し、設計者の目線から周辺エリアで美しい街並みができあがった背景を語った。
グラングリーン大阪に現れた「大阪らしさ」とは
後半のトークセッションでは倉方氏が加わり、グラングリーン大阪と、その根底に流れる大阪の建築プロジェクトの伝統を深掘りした。
倉方氏はグラングリーン大阪が「さまざまな事業者が共同で取り組んだプロジェクト」と指摘し、その現代的な意味を2人に投げかけた。
勝山氏は「公園を主体として、さまざまな事業者が関わることで、自分たちが持つ力以上のものを出せたプロジェクトだ」とその意義を示し、「官民の垣根なく、ここまで密にタッグを組んで作り上げることは他エリアではあまりない。プロジェクトに対する地域の人々の熱意を感じる」と大阪らしさを強調した。
大谷氏は大阪の街づくりの目線から、「近年は大阪の街づくりへのイメージの印象は薄い側面があったが、今回の公園を全面にしたプロジェクトで全国的にも最先端へと躍り出た」と位置付けた。こうした裏側には、「大阪という街がさまざまな名建築家の仕事があった上で、その目線を感じて適当な仕事はできないという気持ちも大きい」と設計者ならではの視点で理由を語った。
倉方氏は「大阪には、人々が社会につながっているという気持ちで仕事をしているという気概があるように感じる。建築の美しさもその一つで、そうした姿勢がグラングリーン大阪をはじめとした新たなクリエーションを育んでいくのではないか」と、大阪にあふれる名建築とグラングリーン大阪のつながりを分析した。
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