「運搬」「清掃」「墨出し」をロボットで レンタルのニッケンが「DXで拾い切れない効率化」提供:第8回 国際 建設・測量展(3/3 ページ)
レンタルのニッケンは「CSPI2026」で、建設現場の“困りごと”を起点に開発した省力化につながる商品群を多数紹介した。運搬や清掃、墨出しを自動化する各種ロボット、次世代高所作業車、外装カーテンウォール取付けマシンなどを展示し、大掛かりなDXだけでは拾い切れない日々の作業改善を提案した。
レンタルのニッケンが竹中工務店、カナモトと共同開発した「カーテンウォーカーEV」は、外装カーテンウォールの取付け作業を効率化するための専用マシンだ。本体の「カーテンウォーカーE」と、吸盤治具の「カーテンウォーカーV」で構成し、縦積みされたカーテンウォールを専用パレットから直接荷取りし、そのまま取付けられる。
従来のカーテンウォール施工では、タワークレーンや小型移動式クレーンを使い、複数階にまたがって材料を移動して取付ける必要があった。そのため、施工階以外にも作業範囲が及び、養生や段取りに多くの手間を要していた。カーテンウォーカーEVを使うことで、荷取りから取付けまでが完結し、外周養生ネットの範囲も限定的で済む。
用途は高層建築のカーテンウォール施工などに限られるが、担当者は「ゼネコンから聞く困りごとは、こうしたニッチな部分が多い。そこを共同開発で解決していくことに、レンタル会社としての役割がある」と説明する。
洗浄、計測、鍵管理、廃棄物回収も支援
「スマートウォッシュゲート」は、ニッケンとスーパー工業が共同開発した全自動簡易タイヤ洗浄機だ。建設現場の出入口に設置し、車両をセンサーで検知してタイヤを自動洗浄する。構内を走行した車両のタイヤに付着した泥や砂利が現場外の道路を汚すことは、建設現場の課題の1つだ。これまではガードマンや担当者が手作業で洗浄しており、特に中小規模の現場では負担が大きかった。スマートウォッシュゲートは、乗車したままタイヤを洗浄できるため、洗浄作業の省人化と省力化につながる。
「GeoLoc(ジオロック)」は、ニッケンが清水建設と共同で展開する高精度GNSS動態観測システムだ。基準点と観測点の2カ所で測位し、基準点で得た誤差情報を用いて観測点の測位精度を高めるRTK方式を採用している。
また、清水建設と東京海洋大学が共同開発した独自のRTK-GNSS測位アルゴリズムにより、上空視界が制限された環境下でも誤差数ミリ〜1センチ程度の高精度測位を実現できるという。国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」には、GeoLocで使用する清水建設の「QuartetS」として登録されている。工事中の切土/盛土やトンネル工事の坑口、インフラ構造物、山留め工事の土壁などの動態観測への適用が想定されている。
高所作業車キーレスシステムは、レンタルのニッケンが竹中工務店、東海理化、東海理化クリエイトと共同開発した車両管理システムだ。高所作業車の予約調整や位置、稼働状況を管理する「位置プラス 高車管理」と、スマートフォンを用いたデジタルキーを連動させ、予約者のみに解錠権限を付与する。通常は高所作業車の利用調整に加え、鍵の貸し出し、返却、保管、紛失時の捜索に無駄な時間が割かれていた。システムでは、予約情報とデジタルキーをひも付けることで、鍵の受け渡しや管理業務を削減し、利用状況も管理しやすくする。
担当者は、「予約した会社だけがアプリで鍵を解錠できる仕組みのため、ゼネコンからの関心も高い」と話す。2026年6月には、大林組が「高車管理」と「高車キーレスシステム」の全社標準利用を決定したことが発表されている。
堆積管理システム「Dipper」は、IoTセンサーで廃棄物などの堆積量を遠隔監視するシステムだ。レンタルのニッケンは、積水化学工業の100%子会社の積水マテリアルソリューションズと共同で、建設現場向け堆積管理システム「Smart Level」を展開しており、Dipperはレンタルのニッケンのサービス名称として位置付けられている。センサーをカートやコンテナに設置し、PC、スマートフォン、タブレットで堆積状況をリアルタイムに確認できる。一定量に達した際にメールで知らせる仕組みも備え、巡回や目視確認の手間を減らすとともに、低積載率での回収を抑え、CO2削減や回収コストの抑制につなげる。
担当者は今後の展望について、「建築現場の人手不足は本当に深刻化している。ニッチな部分であっても、アイデアを出し、デジタル技術や機械化を組み合わせることで、現場課題の解消に取り組んでいきたい」と力強く語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
第8回 国際 建設・測量展:埋設物をバケットで検知 西尾レントオールがCSPIで最新ICT施工と熱中症対策を展示
西尾レントオールは「CSPI2026」で、「i-Construction 2.0」「電動化」「熱中症対策」の3つのテーマでブースを構成した。遠隔操作コックピットや埋設物を検知するバケット、作業員を守るクーラーテントなどを披露し、安全で高効率な現場構築を提案する。
第8回 国際 建設・測量展:ヤンマー建機がホンダ製バッテリー採用 CSPIで新型GX建機を参考出展
建設現場で、カーボンニュートラルの実現と慢性的な熟練オペレーター不足は、喫緊の課題となっている。こうした中でヤンマー建機は解決策として、ホンダの汎用バッテリーを採用した最新の小型電動建機と独自のICT施工ソリューションを提案する。
第8回 国際 建設・測量展:クボタが“原点回帰”のオレンジ色に一新 8トン中型建機を日本市場に投入
クボタは「CSPI2026」で、建機カラーを原点の「クボタオレンジ」に一新した主力機を展示した。新型機は、ロングリーチで狭小地でも広範囲の作業性を誇る8トンクラス「KX085-5」で、これまでクボタが注力してきた小型ではなく、中型市場の開拓を見据えたモデルだ。会場では後付け不要のi-Con 2.0対応パッケージも提案し、現場の生産性と安全性を高めるハードとソフトの製品群を披露した。
第8回 国際 建設・測量展:ボルボ建機のフラグシップ機が日本上陸 都市部の狭小地でも36トン級のパワー発揮
ボルボ・グループ・ジャパンは「CSPI2026」に初めて単独出展し、36トン級新型小旋回ショベル「ECR355」を披露した。半自動制御やAIの危険検知、新型エンジンなどを搭載し、人手不足や燃費高騰に直面する建設現場を救うフラグシップモデルと位置付ける。
第7回 国際 建設・測量展:“はかる”技術でドローン測量を進化させてきたアミューズワンセルフの歩み
ドローン搭載型レーザースキャナーや長時間飛行の機体を開発するアミューズワンセルフは、「はかる」を生業とする技術開発企業だ。量を“測る”だけでなく、課題解決の作戦を“図る”までを含め、2001年の創業以来、400件超の自社開発を積み上げてきた。そのため、自らを「問題解決企業」と位置付ける。現在の主力事業となるドローン分野に踏み出す契機となったのは、近年頻発する自然災害での被災地測量だったという。
第7回 国際 建設・測量展:南海トラフ地震にどう備えるか? 国の防災DXと企業のBCP作成の要点を内閣府が解説
南海トラフ地震や首都直下地震など国難級の災害が迫る中、国は防災DXや官民連携を軸に新たな対策を進めている。CSPI-EXPO2025で内閣府の吉田和史氏が講演し、能登半島地震の教訓や南海トラフの被害想定を踏まえ、新技術と自治体をマッチングさせるプラットフォームや創設準備が進む「防災庁」などの最新動向を紹介した。民間企業には、BCP策定とサプライチェーン全体を見据えた備えを呼びかけた。
第7回 国際 建設・測量展:スマホがAR投影も可能なcm級の測量機器に! RTK測量が進化したレフィクシアの「LRTK」
建設現場では、3D点群スキャンして施工管理に活用する“デジタルツイン”の活用が広がっている。そうしたトレンドの中でレフィクシアは、スマホをセンチレベルの高精度測量機に進化させる次世代測位デバイスを提案する。3D点群スキャンや土量計算、座標ナビがスマホ1台で完結するだけでなく、AR投影で施工モデルを現実空間に重ね合わせる機能も備える。
第7回 国際 建設・測量展:7年ぶりに進化した新世代ショベルと無人化施工で、コマツが未来の建設現場を発信
コマツとその子会社EARTHBRAINはCSPI-EXPO2025で、「未来の建設現場」をテーマに最新技術を披露した。7年ぶりにフルモデルチェンジした新世代ショベル「PC200i-12」の国内初公開に加え、無人化施工をデモンストレーション。省人化と安全性向上を両立するビジョンを示し、業界の社会課題解決に向けた強いメッセージを発信した。






