“はかる”技術でドローン測量を進化させてきたアミューズワンセルフの歩み:第7回 国際 建設・測量展(1/3 ページ)
ドローン搭載型レーザースキャナーや長時間飛行の機体を開発するアミューズワンセルフは、「はかる」を生業とする技術開発企業だ。量を“測る”だけでなく、課題解決の作戦を“図る”までを含め、2001年の創業以来、400件超の自社開発を積み上げてきた。そのため、自らを「問題解決企業」と位置付ける。現在の主力事業となるドローン分野に踏み出す契機となったのは、近年頻発する自然災害での被災地測量だったという。
災害対応が出発点、全天候/長時間/安全を目指して
アミューズワンセルフ(amuse oneself)で技術担当の冨井天夢氏は、「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」(会期:2025年6月18〜21日、幕張メッセ)の特別セミナーB会場で登壇し、自社のドローン技術とレーザー計測の実装事例を報告した。
アミューズワンセルフがドローン開発に参入したのは、2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震だった。公的要請を受けて有人航空機を投入し、被災地を測量した。しかし、冨井氏は当時、「現場に到着するまでに時間がかかり、機材の数が限られ、運用コストも高かった。日本で起こる自然災害の多くは、裏山の崩壊など比較的小規模で、必ずしも高額な有人航空機を投入できるわけではない」と問題点を認識したという。
こうした制約を打破し、誰もが空から測量できるように、2006年から自律飛行型の小型航空機(ドローン)の開発を開始。2014年の御嶽山噴火では、折り畳み式オクトコプター「αUAV」を投入し、2日間で22回のフライトをして迅速な調査活動に貢献した。
さらに国土交通省の要望を受け、雨や強風といった悪条件でも飛行可能な全天候型ドローンを開発。風速25メートルの強風下で6キロの重りを搭載しても安定飛行を維持することを実証した機体は、2018年の関西国際空港冠水時に活躍した。常時8メートルの強風下で被災状況を空撮し、3Dモデル化して短時間で関係者に提供した実績を踏まえ、冨井氏は「スピード感こそ、ドローン最大の強み」と強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.