静岡三島の地場コンが実践する「ベストミックス」の現場DX 本当に使える技術を見極めるには:地場ゼネコンのDX(4/4 ページ)
静岡県三島市に本社を置く地場ゼネコン加和太建設では、現場の負担軽減からDXに着手し、現在は全現場で3D設計を展開するなど着実にデジタル技術を組織に根付かせてきた。加和太建設の強みは、複数のシステムを工程ごとに使い分ける「ベストミックス」の思想と、若手目線による「現場で本当に使えるか」の徹底検証、そして伴走型の定着支援だ。現場起点での3D点群データを活用した降雨/運搬シミュレーションは「中部DX大賞」を受賞し、工事成績評定の向上や残業削減の成果を上げている。
降雨対策と運搬計画をシミュレーションで可視化
現場重視のDXとスタートアップとの連携から生まれた成果は、「令和7年度 中部DX大賞」の受賞という形で社外からも評価された。受賞したテーマは「ICT施工 StageIIがつなぐ『計画』と『現場』――シミュレーションによる降雨対策・運搬計画の最適化」。静岡県内の砂防工事において、静岡県が整備する3D点群基盤「VIRTUAL SHIZUOKA」と現場測量データを組み合わせ、降雨時の水流シミュレーションを構築。土砂の運搬計画にも役立てた。
特に山間部の砂防工事などでは、水がどこから流れ込んでくるのかを予測するのが難しく、どこに排水路を切り、どこに土のうを置くべきかという判断は、これまでベテランの経験と勘に頼らざるを得なかった。加和太建設では、着工前から仮設道路に川のように水があふれる状態を確認していた。
そこでVIRTUAL SHIZUOKAの公開点群と現場取得の点群から、雨水の流れのシミュレーションを実施。水みち、水たまりの予測結果から、降雨時の重機退避位置と水切り箇所を設定。さらに集水域の予測結果を基に、対策実施の基準となる降水量を事前に設定した。従来手法では20人工要していた作業を4人工に削減し、約80%の削減効果があった。
重田氏は「従来は豪雨が降れば夜中でも現場確認へ向かうことがあった。シミュレーションを基に事前対策したことで、現場監督の精神的負担軽減にもつながった」と語る。
また、運搬シミュレーションによる運搬車両台数や出荷ピッチの最適化も検証した。検討の結果、従来と比較して計画の検討時間を3日から0.5日に短縮し、進捗状況の確認も4人工から0.5人工まで削減できることが分かった。
重田氏によれば「ベテランが経験で8〜9台と発注していたダンプ数を、シミュレーションで7台が最適解と導き出すなど、最適化を図ることができた。現場の生産性向上に寄与しただけでなく、若手技術者が所長や協力会社に対して根拠を持って判断を説明できるようになった」という。
現場起点で積み上げてきた加和太建設のDXは、社外からの評価という形でも実を結びつつある。工事成績評定の向上にもつながり、2025年には国土交通省の工事成績優秀企業認定も受けた。後編では、こうした取り組みを組織に根付かせるための「仲間づくり」と、業界を巻き込んだ連携について見ていく。
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