“地震大国”日本の技術を世界へ! 日建設計が米ミシガン州立大とレジリエンス交流:レジリエンス(3/3 ページ)
日建設計は米ミシガン州立大学の学生を迎え、災害レジリエンスをテーマにした企業訪問プログラムを実施した。学生らはヴァーチャル地震体験システム「SYNCVR」をはじめ、女優ミラーを備えるトイレやキノコの皮でできたテーブルなどアイデアが至る所に詰まった共創スペース「PYNT東京」を視察。地震大国日本の建築設計事務所が有する最先端技術と、クリエイティブのゲンバに触れ、エンジニアの卵たちに新たな気付きを与えた。
オフィスのトイレは、本来の機能以外に利用目的も多種多様だ。プレゼン準備や瞑想、鏡で身だしなみを整えるといった用途にも使われている。PYNTでは性別などの属性ではなく、用途で空間を分けた新しいトイレの在り方を提案している。
一例として、メイク直しのために鏡の左右に複数の電球を配した“女優ミラー”を用意。リフレッシュや集中などの用途ごとに、照明の調色や香りを変えた個室も設置している。
「地震は少ないが、竜巻はある」MSU学生が示す、アメリカの災害対応力
PYNTの施設を巡るオフィスツアーの後は、MSU学生が米国の災害対応状況についてプレゼンした。
ミシガン州で発生する主な自然災害(竜巻、冬の嵐、洪水)に対して、米国の州や郡、地方自治体は、階層的な対応体制を取っている。災害の規模や緊急度に応じ、対応する主体が段階的に上部組織に上がっていく仕組みだ。
具体的には、災害の発生時に現場に駆けつけるのは現地(市町村レベル)の警察や消防、救急のスタッフだ。彼らが現場の状況を判断し、事態が深刻であれば対応の主体を上位の郡レベルに移す。さらに、地方自治体の対応能力を超えたと判断されれば、州レベルに移して対処にあたる。
他にも、災害後72時間以内の安定化を目指す「コミュニティーライフライン」の概念やMSU独自の緊急事態管理プラットフォームも紹介した。プラットフォームには、安全やコンプライアンスに関するトレーニングを追跡して管理するための学習管理システム「Ability LMS」、大学の公共安全ツールとなるモバイルアプリ「SafeMSU App」、MSUの全教職員が利用できるオンライン学習プラットフォーム「elevateU」が用意されている。
モバイルアプリのSafeMSU Appは、緊急時のリソースへのアクセス、通報/報告システムを統合。万一のときに学生や教職員が手元で即座に安全情報を取得し、即行動に移せるように設計されている。
elevateUのプラットフォーム上では、災害対応だけでなく、危機管理に不可欠なコミュニケーション能力、変化への適応力、パフォーマンスの向上といったソフトスキルの習得も支援する。
また、こうしたプラットフォームを活用して実施する「重大インシデント管理(CIM)トレーニング」も、大学独自の重要なプログラムだ。海外派遣プログラムのリーダーや学生寮の職員など、キャンパスの安全と運営に責任を持つ「重要スタッフ(Critical Staff)」に義務付けられているという。
日建設計での視察を終えて、参加学生のコメント
日建設計での視察を終えて、参加した学生からは、防災レジリエンスに対する新たな気付きが得られたとの感想が寄せられた。
その一部を紹介すると、航空宇宙工学を専攻するAnja McCoyさんは、「地震を体感するのは初めてで非常に驚いた。免震システムがある場合とない場合での揺れの違いをVRで直感的に理解できた。エンジニアリングがいかに人々の安心を守るのかを実感し、日建設計のクリエイティブなアプローチは素晴らしいと感じた」と話した。
土木工学専攻のJustin Allisonさんは、「日本の高度な耐震技術だけでなく、PYNT東京のオフィスで見られたリサイクル素材の活用やサステナビリティーへの意識の高さに感銘を受けた。歩行中に地震が起きた際のリスクなど、より現実的な視点でインフラの安全性を考える貴重な機会になった」と感想を述べた。
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