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難病を抱えながら設計者として働く「RDワーカー」のリアル 日建設計がNPO法人とシンポジウムプロジェクト(1/3 ページ)

日建設計とNPO法人両育わーるどは、難病のある人の働き方を問い直すシンポジウムを共創拠点「PYNT竹橋」で開催した。建築デザインの視点から誰もが働きやすい社会を探り、「RDワーカー」の認知拡大と次なるアクションに結び付ける議論を深めた。

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 日建設計とNPO法人両育わーるどは2026年4月7日、難病のある人の社会参加をテーマにしたシンポジウム「『難病×はたらく』の未来をデザインする〜クリエイティブの力で“RDワーカー”の可能性を引き出す〜」を開催した。会場となったのは、2025年11月に日建設計が東京都千代田区一ツ橋のパレスサイドビル5階に開設したインクルーシブデザインの実践拠点「PYNT(ピント)竹橋」だ。

PYNT竹橋
PYNT竹橋 写真は全て筆者撮影

共創を通じて社会課題の解決に挑む「PYNT」

日建設計 イノベーションデザインセンター 馬場由佳氏
日建設計 イノベーションデザインセンター 馬場由佳氏

 PYNTは、日建設計が運営する共創プラットフォーム。2023年4月に、東京都飯田橋の日建設計東京オフィスで「PYNT東京」として運用を開始し、対話を起点に複数のプロジェクトを実証段階へと進めてきた。日建設計 イノベーションデザインセンターの馬場由佳氏は、PYNTの取り組みについて「社会課題が複雑化する今、自分たちだけでは解けない問題に対し、共創の力で向き合うもの」と説明した。

 PYNTでは、オープンでフラットなコミュニティーづくりを土台に、独自の「共創ステップ」を設けている。まず人と人が出会い、展示やイベントを通じて互いを知る。そこから議論を深め、小さな企画から実験的に試みる。その後、プロジェクト化し、社会で実証しながら、最終的には持続可能なモデルへと育てる。そうした一連の取り組みを、より広く社会実装へとつなげる拠点として開設したのがPYNT竹橋で、今回のイベントもそのプロセスの一環に位置付けている。

PYNTが掲げる6つの「共創ステップ」
PYNTが掲げる6つの「共創ステップ」

難病と就労を社会のテーマとして捉え直す

NPO法人両育わーるど 理事長 重光喬之氏
NPO法人両育わーるど 理事長 重光喬之氏

 最初に講演したのは、両育わーるどの理事長を務める重光喬之氏。両育わーるどは、自らが難病者でもある重光氏が2012年に設立したNPO法人だ。「障害や難病を越え、互いに学び合い、誰もが自らの望むように生きられる社会」をビジョンに掲げ、難病と就労を軸に当事者主体の活動を進めている。2018年11月には、難病者、支援者、研究者、企業関係者らと「難病者の社会参加を考える研究会」を立ち上げた。

 重光氏は「難病のある人は能力そのものに問題があるわけではなく、体調との兼ね合いで働ける時間が決まってしまう。時間を考慮すれば就労のハードルを下げられるはず」と指摘する。

 一方で、難病者の就労に対する一般社会の理解は十分ではない。痛みなどの症状が外から見えにくいことが認知不足につながっているためだ。難病患者は約700万人、そのうち就業年齢層は約280万人に上るが、病気を開示せずに働く人も多いという。

 こうした実態を踏まえ、重光氏は社会の中にいる当事者を見える化する言葉として「RD(Rare Disease)ワーカー」を提唱した。

RDワーカーの定義
RDワーカーの定義

 両育わーるどでは現在、情報発信や政策提言、当事者支援サービスの開発を進めている。地方行政や地方議員とも連携し、制度改善を働きかけてきた。山梨県では障害者手帳の有無にかかわらず難病のある人を対象とした職員募集枠の動きが始まり、東京都、北海道、荒川区、山梨県北杜市でも同様の取り組みが始まる見込みだ。

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