検索
ニュース

“地震大国”日本の技術を世界へ! 日建設計が米ミシガン州立大とレジリエンス交流レジリエンス(2/3 ページ)

日建設計は米ミシガン州立大学の学生を迎え、災害レジリエンスをテーマにした企業訪問プログラムを実施した。学生らはヴァーチャル地震体験システム「SYNCVR」をはじめ、女優ミラーを備えるトイレやキノコの皮でできたテーブルなどアイデアが至る所に詰まった共創スペース「PYNT東京」を視察。地震大国日本の建築設計事務所が有する最先端技術と、クリエイティブのゲンバに触れ、エンジニアの卵たちに新たな気付きを与えた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

「SYNCVR」で体感する関東大震災、耐震と免震の圧倒的な差も身体的に比較

 このうちSYNCVRについては、学生たちはVRゴーグルと連動して揺れる椅子型の地震動再現装置に座り、約100年前に発生した関東大震災のデータを再現した揺れを体験した。

 体験では、同じ震度で「耐震構造」と「免震構造」を施工したビルで、揺れ方がどう異なるかも比較。耐震構造は、建物が地面と一緒に揺れるため、上層階では揺れが増幅し、家具の転倒などが起きやすい。免震構造は、免震装置が地震エネルギーを吸収し、揺れを70〜80%低減できる。そのため、建物を重大な損傷から守り、地震後も建物の継続利用が可能だ。

 地震が極めて少ないミシガン州から訪れた多くの学生にとって、強い揺れを体験するのは初めての経験となった。VRによる没入感のある体験は、数値データだけでは理解しにくい「恐怖」と、建築技術がもたらす「安心」を直感的に伝えるツールとして有用性を証明していた。

 福島氏は、「感覚的な体験が建設コストと安全性のトレードオフに悩むクライアントとの合意形成で、極めて有効に働く」と有用性を強調した。

データで再現した“関東大震災”の揺れを体験する学生。学生が座る椅子は、ヴァーチャル空間の地震動に合わせて、前後左右に大きくスライドする
データで再現した“関東大震災”の揺れを体験する学生。学生が座る椅子は、ヴァーチャル空間の地震動に合わせて、前後左右に大きくスライドする
ALTALT 耐震ビルと免震ビルの揺れの違いなど、多くの揺れを再現できる「SYNCVR」の制御部とヘッドマウントディスプレイ

共創スペース「PYNT」の実績と、将来に向けたコンセプト

 学生訪問の会場となったのは、日建設計が2023年4月に設立した共創プラットフォームPYNT東京だ。日建設計単独では解決できない複雑な社会課題に対し、業種の壁を越えたパートナーとのオープンイノベーションで、社会実装を目指す場だ。会員となることで誰でも利用でき、建築に限らない多様な分野の研究開発が進められている。

 PYNTは、現時点で日建設計の東京ビルと竹橋オフィス、札幌、福岡などに展開されており、近々開設する大阪を加えて5拠点となる予定だ。2026年5月時点での会員数は、813人に達している。

 PYNT東京には、プロジェクターの投影で室内デザインを実寸大で確認できる「XR STUDIO」をはじめ、原材料や製品の循環で環境負荷を低減させる「サーキュラーエコノミー」を意識し、キノコの菌糸体(菌糸が集まった皮)を培養して作ったレザーテーブルや竹素材の天井など、多彩なアイデアを採り入れている。

 MSUの学生たちは、試作中のプロトタイプを展示し、来場者のアイデアを取り込んで改善を繰り返す「ガレージ」のようなPYNTのコンセプトに強い関心を示した。

設計を1分の1のリアルサイズで体験できる「XR STUDIO」。設計図面を見慣れていない施主やステークホルダーなどが理解しやすく、齟齬の無い合意形成につながる
設計を1分の1のリアルサイズで体験できる「XR STUDIO」。設計図面を見慣れていない施主やステークホルダーなどが理解しやすく、齟齬の無い合意形成につながる
ALTALTALT エコロジーを意識したPYNT東京の内装。天井には成長過程でCO2を吸収する竹をスライスして使用した。カウンターテーブルには、天板が色紙の切れ端(模型材料)、側面にはオフィスの紙ごみ(OA紙の図面など)を固めたものを用いている
ALTALT 菌糸体を周辺部に使ったテーブル。柔らかな触感に驚く学生が多かった

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る