AIが図面ノイズを完全消去、Drawing AgentにOpenAIの革新モデル「GPT-Image-2」実装:AI
renueは、2D図面から3Dモデルを自動生成する「Drawing Agent」に、OpenAIの最新画像生成モデル「GPT-image-2」を用いた「図面クリーンアップ」機能を実装した。補助線などのノイズを除去し、手動補正に頼っていた工程を完全自動化する。
renueは、2D図面から3Dモデルを自律生成するWebアプリケーション「Drawing Agent」に、「GPT-image-2」を活用した「図面クリーンアップ」機能を実装した。GPT-image-2は、OpenAIが2026年4月21日に公開した「ChatGPT Images 2.0」のベースとなる最新の画像生成モデル。前世代と比べ推論機能が向上し、テキスト精度や複数画像の一貫性など、実用性が格段に上がった。
Drawing Agentでは、画像生成モデルを前処理層に組み込み、補助線や寸法標注、ハッチングなどを除去した純粋形状を自動抽出する。曲面製品を含む複雑図面から高精度の図面作成が可能になり、これまで手動での補正に頼っていた工程を自動化する。
GPT-image-2による図面クリーンアップ、動画で精度を確認
Drawing Agentは、2D図面画像をアップロードするだけで、3Dモデルが自動生成されるSaaSだ。CADソフトウェアの操作スキルがなくても、設計者自身が数分で2D図を3Dデータ化できる。
現状の建設業や製造業の現場では、CADから出力したPDF、スキャンしたPDF、紙の図面、FAX画像などが混在している状態だ。紙由来の図面は、寸法線やハッチング、手書き注記が読取精度を下げる要因となっている。既存のAI-OCRは文字抽出に強い一方、図形レイヤーのノイズ除去は苦手としていた。
曲面を多用する製品図面では、補助線と実線の判別は人間にも難しい領域で、熟練工の退職が進む中、図面読取や積算の属人化が課題となっている。
そうした中でOpenAIは2026年4月21日、GPT-image-2を公開した。これまでに文字描画や編集、多言語対応の精度向上が報告されている。GPT-image-2は尺寸標注を含む工程図の生成にも適用できるレベルに達しており、renueは図面読み取りの前処理にGPT-image-2を組み込むこととした。
GPT-image-2は、入力図面に対し、補助線や寸法標注、ハッチング、引出線、断面ラベル、タイトルブロックを除去するプロンプトを適用し、純粋な外形輪郭と内部材質境界線のみを残したクリーン線画を生成する。
検証では、曲面や複合形状を含む難度の高い工程図で、目視と同等レベルの補助線分離が成立することを確認した。プロダクト担当者は「補助線除去に長く苦労してきた領域で、想定以上の結果が得られた」とコメントした。
従来のDrawing Agentでは、画像認識モデル単体でノイズ除去まで担当していたが、生成モデルで前処理する二段構成に切替えた。そのため、生成モデルはノイズ除去を担当し、下流の認識モデルは形状認識に専念できる。
補助線除去のようにドメインルールで明文化できる処理は、生成モデルへのプロンプトに落とし込む。形状の解釈や推論が必要な工程はAIモデルに委ねる。役割分担により、適用できる図面パターンを広げつつ、出力品質の再現性を確保した。
また、単一の平面図から、三面図や異なる角度の補完図面をGPT-image-2で生成し、統合入力として3DCAD生成に渡すアプローチも並行検証している。1枚の図面に含まれない情報を生成モデルが補うことで、CAD復元の安定度を高める。建築の意匠図や製造業の部品図への適用拡大が見込まれる。
前処理工程の自動化と前処理品質の再現性
想定される導入効果として、現場入力のまま投入可能な図面の割合が増え、前処理担当者の負荷が下がる。その結果、担当者は判断業務やレビューに時間を振り向けられる。図面1枚あたりの処理速度が上がることで、同規模のチームで扱える案件数も増やせる。
生成モデルによる前処理は、同一プロンプトで一貫した出力が得られる。担当者ごとの手順のばらつきが解消され、品質管理のコストが下がる。処理ログは案件単位で保存され、監査や手戻りの対応も容易になる。新人担当者でも熟練者と同等の前処理結果を再現可能になり、戦力化までの期間が短くなる。
renueは2026年内、対応図面パターンの拡張とフィルター精度の改善を継続するとともに、製造業の試作部品や建設業の構造図、ジュエリー/アパレル領域の意匠図など、ユースケース別の最適化を進める。
同時に顧客企業のフィードバックをもとに、業界別の前処理プリセットも整備。業界ごとの図面表記ルールをプリセット化することで、導入時のチューニング期間短縮につながる計画だ。
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