2D図面の情報をAIで“構造化”する「平面図解析技術」 設計事例検索や法令チェックが可能に:AI
テクトムは、AIによる2D図面の解析と構造化を実現する「平面図解析技術」を新たに開発した。平面図から室名や仕様、数量などの文字/数値情報に加え、線や寸法、配置、面積などをAIが解析し、設計に活用できるデータとして自動で構造化する。構造化したデータでは、図面を基にした面積によるアーカイブ検索、竣工プロジェクトの傾向分析、建築関連法令などへの自動適合チェックなどが可能になる。
テクトムは、AIによる2D図面の解析と構造化を実現する「平面図解析技術」を新たに開発したと2025年10月に発表した。平面図から室名、室床面積、室容積などをAIが自動で解析し、「KnowledgeBuilder」上で構造化データとして活用できるようになる。取得した情報は過去アーカイブの検索、統計分析、設計要件照合や基準チェックなど、建築設計AIプラットフォーム「Tektome Platform」上の各ツールとの連携活用を想定している。
AIが平面図からレイアウト情報を高精度に抽出
建設業界で、従来の2D図面を解析してデータ化することは長年の課題とされてきた。とりわけAIにとっては、複雑な寸法線や空間をまたいだ注記の干渉、スキャン時の歪みや手書き修正といった要因により、誤認識が生じやすかった。さらに、建具の特殊記号や組織/担当者ごとの作図ルールの違いも、解析精度を阻む要因となっていた。
テクトムは課題解決のため、AIによる2D図面解析の実用化を目指し、「平面図解析技術」を開発した。建築設計で、平面図は空間構成や動線計画、機能配置といった建築の根幹を規定する図面のため、情報解析で、構成や配置に基づく図面検索や設計傾向の統計分析など、多様な応用が可能になる。
AIは、縮尺が異なる図面でもスケールを読み取り、部屋の寸法や形状を正確に測定する。壁線や部屋境界線と寸法補助線が重なることによる誤認識を防ぎ、線の太さ、破線、点線なども正確に判別。スキャン歪み、解像度不足、印刷かすれといった図面のノイズだけでなく、手書き修正、設計事務所ごとの作図ルールの違いにも対応する。
また、開口や扉で途切れて完全に囲まれていない空間も、「一部屋」として認識。開き戸の円弧や引き戸の矢印などの建具記号も理解し、面積や開口部を正しく計算する。
AIが構造化したデータは「KnowledgeBuilder」に蓄積し、設計事例の検索や設計傾向の把握、AIによる学習/自動設計に活用する。さらには、ReqManagerやSmartCheckでは要件管理や基準チェックに利用でき、Tektome Platform全体で高度に連携する。
具体的には、設計事例の検索では、「500平方メートル以上あるホール」「奥行き15メートル以上のオフィス専有部」といった空間の特徴での検索が可能になる。また、「小学校の柱スパン」「貸室の天井高さ」「レンタブル比」などの室床面積や形状情報で、竣工プロジェクトの傾向分析して現行の設計に役立てられる。
基準チェックでは、「平均天井高さ2.1メートル以上」「避難における歩行距離30メートル以下」など、建築関連法令や設計基準への適合性も自動判定。さらに「教室の形状は7x9メートルが多い」「都内の1万平方メートル規模のオフィスビルは貸室の奥行き約14〜16メートル程度が多い」など、部屋の形状や寸法をAIが学習し、レイアウト案の自動生成も実現する。
テクトムでは今回の平面図解析技術を皮切りに、断面図や立面図、設備図など、2D図面への対応を順次拡大する。その先には、BIMデータへの応用も視野に入れ、設計から施工・維持管理まで、各プロセスでのデータ活用を目標に定める。
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