土木設計図のチェックをAIで自動化、「CiviLink」4月リリース 2D図の3Dモデル変換も実装予定:CAD
Malmeは、土木設計図面のチェックや照査、品質管理工程が1プラットフォームで完結する「CiviLink」を2025年4月に正式リリースする。「誰が、いつ、どのような根拠で、何を決定し、確認したのか」図面作成過程の履歴を誰でも簡単に記録や共有ができる。
Malmeは、膨大な労力と工数を要する土木設計図面のチェックや照査、品質管理工程を最適化する土木向けサービス「CiviLink(シビルリンク)」を2025年4月に正式リリースする。現在は先行して、プロトタイプ版を一部ユーザーに提供している。
図面チェックや修正の履歴をシステム上で一覧管理
CiviLinkは、土木設計図面の品質向上とチェックや照査作業の自動化を目的に開発した土木のための成果管理システム。「誰が、いつ、どのような根拠で、何を決定し、確認したのか」など、図面作成過程の重要な履歴を誰でも簡単に記録/共有し、チェック項目やノウハウとして運用できる環境を提供する。
また、AI照査機能や2次元/3次元の相互連携で照査作業の省力化を実現し、以前から課題となっている多大すぎる労力課題も解決し、土木技術者の実務遂行を支援する。
土木実務の現場では、図面などの成果物チェックに技術者の膨大な時間と労力が割かれている。経験的な技術判断が必要なものも多く、特定個人の人的作業に依存せざるを得ない場面も多い。
技術者は作業の労力に加え、属人的な環境のもと、さまざまな媒体で図面に関わる情報がやり取りされるため、情報の一元管理も難しい。図面チェックや照査の体系的な記録も残りづらく、体系的な品質管理が困難な状況に陥っている。
そうした土木実務の現場で発生している品質管理とチェックや照査の労力の課題を解決することを目指し、MalmeはCiviLinkを開発した。
CiviLinkの照査の記録と共有機能では、図面チェックや修正過程の重要な履歴情報をシステム上で一覧管理。図面の管理に必要な項目をスレッドのようにチケット化し、チケットごとにチャットでやり取りするなど、特定のテーマで関係者のコミュニケーションが可視化され、関連するファイルの添付や図面のバージョン管理にも対応している。
実装予定の機能では照査の自動/半自動化があり、AIと画像内のテキストを認識するOCRで図面情報を抽出し、自動/半自動で照査を実行。照査結果はCiviLink上で一元管理し、機能自体はオーダーメイドで搭載できる。
また、2Dと3Dの相互連携も開発中で、実用化すれば2D図面の情報をもとに3Dモデルを生成。互いのデータ連携で、各図面間を連動させて整合性を図れるようになる。
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